住友不動産がオフィス19棟の売却を検討 総額1000億円超

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住友不動産が都内で保有するオフィスビル19棟の売却を検討していることが、12日分かった。売却総額は少なくとも1000億円規模に上るとみられる。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

ブルームバーグが確認した文書によると、住友不は東京都千代田区をはじめ港区や品川区などのエリアで保有する中規模オフィスビル19棟を売却可能性物件としている。都心の一等地に立地する大規模オフィスビルは対象としていない。

関係者の1人によると、19棟まとめて売るバルクセールではなく、ビルごとの売却を検討しているという。不動産投資ファンドや不動産仲介会社などに対し、それぞれのビルの具体的な資産価値の試算を依頼している。住友不は「グランドヒルズ」ブランドで展開している渋谷区や文京区などの賃貸マンション8棟の売却も検討している。

住友不株は報道を受け、一時前日比6%高の6040円まで上昇した。終値は2.4%高の5838円だった。

住友不は適時開示で「そのような事実はない」とブルームバーグの報道を否定した。その上で、希少性の高い資産以外を縮減し、資産効率を向上させていく方針などと付け加えた。

同社に対しては、アクティビスト(物言う投資家)として知られる米エリオット・インベストメント・マネジメントが企業価値の向上策を求めるなど圧力を強めていた。これまで中核のオフィスビル事業については、自社開発後に長期保有し、テナント収入を手堅く得る事業モデルを長年貫いてきた。今回の売却はキャピタルゲインの獲得を狙ったもので、従来の戦略からの転換を意味する。

三井不動産や三菱地所など上場する競合他社は、オフィスビル事業についてテナント収入とキャピタルゲインを両輪とする事業モデルをかねて築いてきた。資産を過剰に保有しないため、新しい投資へと経営資源を振り向けやすい。

ブルームバーグは3月、エリオットが住友不の株式を取得したと報じた。

エリオットは政策保有株式を売却し、自己資本利益率(ROE)など資本効率を高めるよう住友不側に求めていた。今月上旬には住友不株主宛ての公開書簡で、株主総会で経営陣の再任に反対票を投じる意向を表明し、株主還元が弱く、政策保有株式の持ち合いが「過剰」だと批判した。同書簡でエリオットは、住友不の株式保有率を3%以上に引き上げたことを表明していた。

著者:堀内亮

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