たとえば、多くの人が革新的な人物だと思っているスティーブ・ジョブズは、どれだけ変化と革新を追求したといっても、政治的な立場は保守派に属するといえる。なぜかというと、彼は新自由主義を批判して抵抗するのではなく、現在のアメリカ式の資本主義社会を最大限に利用し、活用した人物だからだ。
「政府の介入」を主張するのがリベラル
一方で、新自由主義を批判する立場を「リベラル」、もしくは「左派」と呼ぶ。これらは市場の自由を重視する新自由主義を批判して、政府の介入が必要だと主張する。ところが、いちがいに政府の介入を追求するといっても、本当にさまざまな立場がある。代表的なものとして、後期資本主義と共産主義がある
結論からいえば、政治とは「どんな経済体制を選ぶのか?」に関する議論だ。経済体制のうち、どれを僕たちが暮らす世界に適用するのかについての議論が政治の本質だといえるだろう。
選択肢は2つある。
1つは「市場の自由を主張する立場」で、僕たちはこれを「政治的保守」という。
もう1つは「政府の介入を主張する立場」で、僕たちはこれを「政治的リベラル」という。
ある人はこう言うだろう。自分は保守でもリベラルでもない中立だと。ところがその人も実は、自分でも気づかないうちに1つの志向を一貫して持っているのだ。
保守とリベラルの区分は、狭い意味での二分法的な構図ではない。それは「世界をどう見るか」ということであり、個人の価値観の表現だ。
「自分は保守でもリベラルでもない」という言葉は、「自分には価値観がない」という言葉くらいあり得ないことだ。
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