<若者よ目を覚ませ!>各党の手取り増加策は的外れ。若年低所得者の手取りは「社会保険料の税方式化」と「所得補給制度」でこそ本当に増える

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ただし、このような税方式化に対しては従来、「給与所得者の保険料をゼロにすることは、確かに家計の手取りを増やすが、それが同時にもたらす折半拠出の事業者負担分の廃止は、事業者のみに得をさせて家計へ負担を押しつける」との批判がある。

しかし、本当にそうだろうか。

保険料の事業者負担の廃止は、事業者の賃金負担を引き下げる。これは、確かに、事業者により多くの労働者を追加的に雇用できるメリットを与えるが、労働需要を高め、市場賃金を引き上げるから、同時に、家計にもメリットをもたらす。すなわち、保険料をゼロにすることは、家計に、保険料の被用者負担分の負担の廃止による手取りの上昇と合わせて、事業者側負担の廃止による市場賃金の引き上げによる手取りの上昇ももたらす。

この社会保険の税方式化は、保険料の廃止とそれを補填する中高所得者への増税の組み合わせであるから、全体として歳入中立的であり、国民負担率は引き上げられない。

なお日本では、社会保険財源は、保険料と消費税で賄うべきだという「神話」が定着しているが、OECD先進国の中で、基礎年金を保険料と付加価値税だけで賄っている国はなく、どの国でも所得税を投入している。また、所得税収のGDP(国内総生産)に占める割合は、2023年にはOECD加盟先進国20カ国のうち日本が最低であった。

低所得者に対する「所得補給制度」とは?

ワーキングプアの手取りを増やすための第2の政策は、低所得者に対する所得補給制度(給付付き税額控除)を導入することである。この制度は、基本的に賃金所得が低い人に対して、国が賃金所得への補助を給付するものであるが、ギグワーカーのように被用者に近い自営業者に適用することもできる。

この制度の下では、典型的には、所得がある水準に達するまでは、一定の補給率で所得補給が行われる。ある水準を超えると補助率が次第に下げられ、やがて補助はなくなる。

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