「タワマン住みの"新住民"は町内会に入らない。でも、祭りには来る」…。タワマンの聖地・武蔵小杉、激変した街に"旧住民たち"が語ること
ここを散策したのは、ちょうど桜の時期だった。
楽曲『サライ』のようにふぶくほどの花びらは散っていなかったが、サライ通り商店街の空を仰ぐと、いくつものタワマンが見えた。

武蔵小杉はかつて、工場と住宅が混在する、どちらかというと地味な街だった。神奈川県川崎市中原区のほぼ中央に位置し、東急東横線とJR南武線の乗換駅として機能してきたが、長らく“通過される街”でもあった。
転機が訪れたのは2000年代半ば。工場跡地の再開発が始まり、2007年にレジデンス・ザ・武蔵小杉(神奈川県川崎市中原区新丸子東3)が竣工。
その後も次々と大規模マンションが建設され、かいわいはさながらタワマン銀座の様相を見せ始め、「東京に通える未来都市」として注目を集めた。

2010年代にはテレビや雑誌で取り上げられることが増え、“住みたい街ランキング”の常連となり、人口も急増した。
現在、駅周辺には10本を超えるタワーマンションが立ち並び、高層ビルの合間をベビーカーが行き交う光景が日常となっている。
ただ、このエリアには、昭和の香りを残す商店街も残っている。この“ギャップ”こそが、武蔵小杉という街の今を物語る。
タワマンのメリット・デメリット
タワーマンション(タワマン)は、一般に20階以上または高さ60m超の超高層集合住宅を指すようだが、今や我々がイメージするタワマンは20階や30階ではなく、もっと高層だ。
タワマンの定義はあってないようなもの。この連載では、「2000年以降に竣工した、すごく高くて、おしゃれなマンション」くらいにしておく。“高い”には価格の高さも含まれる。
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