She'll be back?「蓮舫出馬」が広げる複雑な波紋 反発の一方で「悪名は無名に勝る」との見方も

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立憲は、昨秋の衆議院選挙で50議席増と大躍進したが、比例票は大敗した2021年の衆院選と比べて7万票しか増えなかったのが実態だ。しかも、主要メディアの最新の世論調査では、政党支持率や次期参院選での比例投票先で国民民主党が野党第1党に躍り出ており、立憲の低迷ぶりが際立っている。

そうした状況も踏まえて、蓮舫氏の周辺からは「だからこそ、知名度の高い蓮舫氏の出馬で比例票を増やすべきだ」(参院幹部)との声が出る一方、党内に「今さら蓮舫氏の名前で票が掘り起こせるのか」(若手議員)と疑問や反発も目立つのが実情だ。

こうした蓮舫氏出馬をめぐる立憲内部の軋轢(あつれき)について、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は3月7日の記者会見で、「(蓮舫氏は)国政は1回リセットって言ってなかった? まあ、帰ってくるのはウルトラマンと蓮舫さんだけだね」と皮肉ってみせた。

もともと蓮舫氏は国会審議での厳しい質問の影響で、「怖くて強い女性」(自民党幹部)との印象が定着している。加えて、都知事選での敗北後もSNSなどを通じて「私は黙りません。私が黙ったら、『ああ、蓮舫ですら黙るんだ』『屈するんだ』と思われます。これでは次に挑戦する女性は萎縮してしまいます」などと発信し続けている。

さらに、「自分の指摘が、もしかしたら間違っているんじゃないか、と逡巡(しゅんじゅん)する時もある。ヤジもすごい。その中で私は、例えば(立憲民主党代表代行の)辻元清美さんとともに、行政監視を続けてきた、という自負がある」ともつづっている。都知事選でも目立った「蓮舫・辻元コンビ」の復活が立憲の再浮上につながるとの自信が垣間見える。

問われる各党トップの力量

政権交代の可否も問われるとされる次期参院選は、各党代表の「党首力」が問われる戦いとみられている。その文脈で、主要7党の党首について「石破茂、野田両氏はアピール力不足で、吉村洋文(日本維新の会)、斉藤鉄夫(公明党)両氏も迫力に欠ける。これに対し、国民人気を集めるのは玉木氏と山本太郎氏(れいわ新選組)」(選挙アナリスト)との見方が多い。

さらに、各党の“代表的弁士”も「蓮舫氏以外に目立つ人物はいない」(同)と見る向きが少なくない。永田町関係者の間では「賛否両論が交錯しても、選挙では『悪名は無名に勝る』というのがこれまでの実態」(同)との声も広がる。

最終的に蓮舫氏擁立は3月24日の立憲民主党大会で決まるとみられる。蓮舫氏自身がそれまでどのような発信を続けるかが注目の的となることは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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