「私の話をよく聞いてくれて、自分の意見も言ってくれます。1時間や2時間はすぐに過ぎていきました。最初はいい友だちができたと思っていましたが、優しくて親切な彰さんに恋する気持ちが芽生えたのは否めません。東日本大震災のシェルターから引き取ったというワンちゃんの写真も優しそうな顔をしていました。血統書付きの犬などではなく、雑種です。彰さんは自分中心でも見栄っ張りでもなく、いたわる心を持っている人なのです」
日本に住むことに抵抗は感じなかった
芽生える、いたわるなどの細やかな日本語表現も駆使して、彰さんの人柄を絶賛するアンナさん。2カ月後には彰さんの誘いを受けて日本にやってきた。航空チケットは自分で用意し、4泊5日のホテル代は彰さんが予約して負担した。
「渡航費が自分持ちなのは安心感がありました。私はそれでも緊張していましたが、彰さんが東京をいろいろ案内してくれたんです」
この5日間も彰さんはアンナさんを口説くようなことはしなかった。それが敬意と優しさを重視するアンナさんにとっては大きな加点となり、ロシアに帰ってからは彰さんへの思慕の念がますます高まった。毎日の電話だけでは満たされなくなり、2カ月後に再び日本へ。今度は彰さんが住む神奈川県内で2週間過ごして結婚に至った。
「最初は年齢差が少し気になっていました。でも、こんなに相性のいい人はめったにいません。例えば哲学や政治学の話もすごく合います。大学の知り合いは成績にしか興味がないのでそんな話はできません。彰さんのような素敵な人と一緒になれないのは惜しいことだと思いました」
結婚直後にコロナ禍が拡大。さらにはウクライナ戦争が始まり、彰さんはまだロシアに行ったことがなく、アンナさんの家族とも会えていない。アンナさんの両親とすでに結婚して子どもがいる兄と姉は末っ子のアンナさんを気にかけつつ、彰さんと結婚して日本に住むことには反対しなかった。
「私の親戚は仕事などで世界中に散らばっているので、家族が外国に住むことに抵抗はありません。ロシアは離婚する人がとても多いので、親からは『うまくいかなかったらいつでも帰っておいで』と言ってもらっています。もちろん、私は不真面目でも無責任でもありません。日本という外国で暮らすことを全力で頑張っています」
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