日本経済が世界から遅れる原因作った「真犯人」 なぜこんなにも新興企業が少ないのか
新興企業は、顧客探しに苦労している。平井氏が指摘するように、GDPの16%を財やサービスの購入に充てている国・地方自治体に対して売り込みができれば新興企業は助かるだろう。
日本では長い間、政府調達において中小企業を優遇するための「別予算」を用意していたが、そのほとんどが老舗企業に割り当てられていた。政府はようやく2015年、創業10年未満の中小企業に対する「別予算」を設けた。
しかし、その額はごくわずかだ。2021年の調達額は770億円にすぎず、国の調達額全体の0.8%と微々たる割合である。もし、政府が新興企業からの調達を拡大すれば、振興企業の収益が増えるだけでなく、銀行融資を受けやすくなり、民間企業に対する売り上げも拡大するだろう。
エンジェル投資家に対する減税措置
エンジェル投資家に対する減税措置は、高成長の新興企業を大きく後押しすることになる。エンジェル投資家の多くは元起業家で、新興企業に対する資金提供だけではなく指導も行う。2019年、アメリカのエンジェル投資家は6万4000社に対して1社あたり平均37万6000ドルの合計240億ドルを投資した。これはVCから資金を得たスーパースター企業の20倍にあたる。
諸外国では、巧みに設計された税制優遇措置がエンジェル投資ブームを生み出してきた。しかし、税制優遇措置が微々たるものである日本では、ブームは起きなかった。現在、投資対象企業が設立3年未満の場合、所得金額から控除されるのは年間最大でたったの800万円である。その他、設立3年から10年未満の企業に対する投資に対しては、株式等譲渡益からの控除を受けることができる。
アメリカでは、投資先1社につき40万ドルが控除の上限となっている。経済産業省は何年もこの上限を引き上げようと試みているが、財務省がこれを拒否してきた。エンジェル投資家の出資により起業が増えれば税収も増加するのだから、この考えは近視眼的と言える。岸田首相は、財務省の抵抗に打ち勝つ必要がある。
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