社員が「DXで疲弊」する会社にありがちな3大失敗 DX人材が育てばDXが成功するわけではない

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多くの企業が事業戦略の柱としてDX推進を掲げていますが、会社が目指すDX人材の育成は成功するのでしょうか(写真:EKAKI/PIXTA)

多くの企業が、事業戦略の柱としてDX推進を掲げています。そこで課題となるのが人材育成です。私どもが提供している研修サービスでも、大手企業などから「DX人材の育成をしてほしい」という依頼を受けることが多くあります。

というのも、ここ1年で企業におけるDX推進は社内の先鋭的・戦略的な人材が少数精鋭で担うステージから一歩進み、現場の全社員に落とし込んでいくべきものへと変化しているのです。

研修疲れの現場から「疑問の声」

DX推進に向けた企業の取り組みがより深化していることに対し、現場からは前向きな声が多数聞こえてきます。その一方で、「また研修か」「これを学んで僕らの仕事は楽になるのだろうか」「こんなことやってお客様に喜ばれるのか」という疑問の声が多いのもまた事実です。

ただでさえ、企業によって社員は大量の研修を抱えています。人事部が定期的に実施する研修もあれば、外部の公開講座への参加、スキマ時間に学ぶeラーニング、そしてTOEICなどの英語学習……。そこに、さらにDX人材になるための研修が加わっているのです。かといって、各社は残業規制を強化しており、使える時間には限りがあります。

研修過多の状況だけが問題ではありません。「この研修成果をどこで生かせばいいの?」「末端の平社員だけに研修を押し付けているのではないか」など、研修の内容や目的への不満も聞こえてきます。このような状態で、会社が目指すDX人材の育成は成功するのでしょうか。

私は日本企業の競争力向上に、DXが役立てると信じています。しかしながら、経営層とDX推進部門、そして現場という3者間にギャップを感じるケースが少なくありません。DX推進を変革の機会にしてほしい、という期待を込めて、DX人材育成がうまくいっていない企業に共通する「3つの視点」をお伝えしたいと思います。

DXはデジタル技術を活用した、トランスフォーメーション=変革です。本来は、顧客への提供価値を向上させる、あるいは社内の業務プロセスを変革させていくことを意味しています。この部分に挑戦していくことが、本来のDXです。

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