三菱重工、5兆円再挑戦への不安 試金石となる新中計
「成長投資を続けるには、5兆円の売り上げ規模がないときつい」。5月8日、2021年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画の発表会見で、三菱重工業の宮永俊一社長は、売上高5兆円の旗を下ろさないのかを問われて、そう答えた。
5兆円という数字は、前中計(16年3月期〜18年3月期)の目標そのもの。だが、三菱重工の売上高は4兆円前後で足踏み。最終年度の18年3月期も4.1兆円と、遠く及ばなかった。

ただ、前回の5兆円と今回の5兆円は中身が異なる。というのも、新中計には4000億円のM&A(企業の買収・合併)の計画を織り込んでいるのだ。宮永社長は具体的な業種や社名については言及を避けたが、これまで手掛けたことがない事業領域での相手先を、北米で物色中なのだという。
つまり、M&Aを除けば3年間で売上高を5000億円伸ばし、4.6兆円にするというのが今回の中計だ。その増収分の大半を占めるのが、三菱重工の三つの事業領域(パワー、インダストリー&社会基盤、航空・防衛・宇宙)のうち、パワー領域の火力発電や航空エンジンの拡大だ。
「手持ち工事だけでこのくらいは(売上高が)上がってしまう」と宮永社長は涼しい顔をする。今回の5兆円目標はM&Aの部分を除けば、「安定していける(=余裕で達成できる)数字」(宮永社長)とする。
MRJは資本増強検討
むしろ焦点は、5兆円の旗よりも利益目標だろう。18年3月期の営業利益(1265億円)を3年で2.6倍の3300億円にすることを目指すからだ。
大幅増益を達成するうえで、最大の注目は小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)の開発・製造を手掛ける子会社・三菱航空機だ。
08年の営業開始以来、開発費が先行。6000億円を投じたが、量産初号機の引き渡しは21年3月期中の見込みだ。開発はピークを越え、今後は開発費が減ると説明する。納入が始まる新中計の最終年度には、航空・防衛・宇宙領域の収支がトントンになるという計画だが、小型ジェット旅客機の競争は世界的に激化。思惑どおりにいくかどうかは予断を許さない。
三菱航空機の債務超過額は約1000億円。「今期中に資本を増強し債務超過を脱するつもり」(宮永社長)で、複数の出資予定者と交渉中だという。
前中計期間中には、不測の事態が相次いだ。欧州向け豪華客船で2742億円の累積損失を計上。MRJでTC(型式証明)の取得が難航した。
宮永社長は「想定外の事態から多くのことを学んだ。新中計では、柔軟にBプラン(代替策)に移行できるようにする」と述べたが、不測の事態に今後十分に対応できるかは未知数だ。三菱重工は前中計の未達から本当に学んだのか。新中計ではその真価が問われることになりそうだ。






















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