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マスターズにまつわるエピソード オーガスタクラブハウスの「粋」

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(イラスト:ソリマチアキラ)

「ゴルフの祭典」といわれるマスターズにまつわるエピソードは、枚挙にいとまがない。その代表的なものを挙げてみたいと思う。

まずはシンボリックなオーガスタのクラブハウス。そこには、屋根裏部屋と地下のワインセラーがある。屋根裏部屋は、通称「クロウズ・ネスト(カラスの巣)」と呼ばれ、1泊15ドル程度で宿泊できる。シングルベッド五つがうまく区分けされていて、それぞれ小さなキャビネットと真っ白なバスローブ(マスターズマーク付き)がある。じゅうたんはオーガスタのシンボルになっている深いグリーン、壁は真っ白でそのコントラストが鮮やかである。大会中は、アマチュア選手優先で泊まれる。もちろん、アマ時代のタイガー・ウッズも、ここに宿泊した経験がある。

地下のワインセラーには、世界の逸品、ビンテージワインがずらっと並んでいる。メンバーの一人が大のワイン好きで、コツコツと集めたものが多い。メンバーが注文してもおカネは取らない。彼の遺言書に「このワインの請求書は、私に回してください」という一文があったからだ。

そして、チャンピオンズディナー。1952年のトーナメント開催中、ディフェンディングチャンピオンのベン・ホーガンが歴代の優勝者全員を招待し、夕食会を開いたのがきっかけ。当時は「マスターズ・クラブ」という呼び方だった。現在は前年度優勝者が1品、お好みのメニューをリクエストできる。ウッズが初優勝したときは、ハンバーガー。マーク・オメーラはニューヨークから職人を呼び寄せてのお寿司だった。もしも松山英樹が優勝したら、何を注文するのだろう。

そしてチャンピオンに授与されるグリーン・ジャケット。本来は、オーガスタのメンバーたちのユニホーム。そして「今日からあなたも名誉メンバーですよ」と勝者に贈られる。初めて袖を通したのは49年サム・スニード。胸ポケットにオーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブのエンブレム。ケリーグリーンというマスターズカラーである。

毎年、水曜日に開かれるパー3コンテスト。一昨年からウェブ中継をしているけれど、第1回大会からしばらく、9番と18番の間から扇状地のように広がるダウンヒルのスペースが実は、幻の19番ホールの名残りだった。その一部は、ボビー・ジョーンズと一緒にコースをデザインしたアリスター・マッケンジー博士が設計図に描いた19番ホールのスペース用地だった。そこで初日が、アプローチ&パッティング。2日目がアイアン。3日目がドライビング。各コンテストを午前中に開催して、試合は午後からスタートしていた。それがパー3コンテストの由来なのである。

ちなみに、ラジオ放送は34年の第1回大会からで、テレビ中継は56年からだ。伝統を守りながら、時代の流れをいち早く取り入れるのもマスターズのプライドなのだろう。

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