タダノの多田野宏一社長に聞く 「トランプ特需」に即対応、M&Aもやりたい
香川県に本社を置くタダノは、建設用クレーン製造で世界最大手級。近年、海外需要が減少する中でもシェアを拡大し、攻めの姿勢を崩さない。創業者の孫で6代目社長の多田野宏一氏に、国内外の需要動向と経営戦略について聞いた。
──今期は6年ぶり減収減益予想。建設用クレーンの需要動向は?
リーマンショック後の2009~10年に世界需要は半減し、当社も10年度は赤字に陥った。中国の景気対策の効果もあって11年から需要は回復したが、13年をピークに16年まで減少が続いている。
当社は海外売上比率が約5割だが、原油安を受けて北米や中東を中心にエネルギープラント建設向けが減少したことが大きい。その中で海外におけるシェアを上げて増益を維持してきたが、16年度は円高の影響もあり減益となる見通しだ。
──17年度以降の需要見通しはどうか。
18年度までは東京五輪の準備もあり、国内は首都圏中心に高水準の状態が続きそうだ。
海外では原油価格が1バレル=50ドル台まで回復したが、中東産油国が財政支出を増やすレベルにはまだ達しておらず、北米もまだよくなった感じはない。当社のクレーンは製油所や石油化学プラントの建設・保守用が中心。原油の需給ギャップが埋まり、3年後ぐらいに原油価格が急騰する可能性があり、その際は需要拡大に対応できるようにしたい。
──米トランプ政権はインフラ投資拡大を掲げている。
「10年で100兆円投資」が本当に実現すれば、需要は拡大するとみられ、本気度が注目される。
米国ではすでに橋や道路などインフラ更新投資が活発化しており、当社も顧客の幅を広げる方向で対応中だ。米国は世界最大市場であり、人口動態から見ても長期的に需要は増えていくだろう。
われわれは需要や為替、原油価格をコントロールできないので、期待や悲観はしないようにしている。大事なのは、変化への即応力だ。社内では「伸び縮み力」と言っているが、基本は固定費をできるだけ変動費化すること。工場の自動化など協力会社を含めて力をつけないと、急に増産・減産することは難しい。将来的にも大きな課題だ。
──世界シェアは07年の14%から16年の26%まで上昇した。
価格を下げてシェアを取る発想はない。不毛な戦いになるだけだ。われわれが目指すのは、商品力、品質、部品供給を含めたサービス力、中古車の価値向上という「4拍子そろった会社」。クレーンは平均寿命が約30年と長いが、海外で二次使用されることも多い。だから、この四つはつながっている。高い付加価値を顧客に認めてもらい、「後戻りしないシェアアップ」を目指す。
──22年度に売上高3000億円、うち海外が2000億円と倍増以上を目標にしている。
密度の高いサービス体制などで顧客満足度を高めるが、世界で戦うには今の事業規模では中途半端だ。内需縮小にも備え、海外を強化する。基幹部品の輸出も行う高松の新工場建設に加えて、海外の営業エリア拡大や製品拡充に向けたM&Aを18年度までに2~3件はやりたい。
(聞き手・本誌:中村 稔)






















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