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本田宗一郎が持ち続けた創業以来の夢が30年の時を超えて、世界の空へと飛び立ち始めている。
米国ノースカロライナ州にあるホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)で生産されている「ホンダジェット」は、1機5億4000万円、定員最大7人の小型ビジネスジェットだ。主な顧客像は何州にもまたがってホテルや不動産を経営する中小自営業の社長だ。自らジェットを操縦し、社員を連れて出張に行けば、民間のエアラインに比べて大幅な時間の節約になる。型式限定免許を取得するための操縦訓練コースも充実しており、ホンダの理念である「操る喜び」をビジネスジェットでも顧客に提供しているというわけだ。
現在は月3~4機の生産
ホンダジェットは現在、月3~4機のペースで生産している。2018、19年度にかけて月産6機にペースを上げ、年間で80機を生産するフル稼働が目標だ。ペースアップのボトルネックはサプライヤーの技術の成熟度の低さ。車は約3万点の部品から組み立てられるのに対して、ホンダジェットは約20万点にも及ぶ。今はこの部品の品質を安定させる難しさに直面している。単年度での黒字化は当初計画より後ろにずれ込む公算が大きい。
1986年、ホンダは埼玉県和光市にある基礎技術センターで社内でも秘密裏に航空機の機体とエンジンの開発を始めた。宗一郎が生前その事実を知ることはなかった。
異例のエンジン・機体開発
プロジェクトが正式に開始したのは97年だ。開発当時のコンセプトは「空飛ぶシビック」だった。米国の75年の排ガス規制、マスキー法をいち早くクリアし、ホンダの名を世界にとどろかせるきっかけを作った小型車「シビック」になぞらえたのだ。「ホンダが車で米国のオートカルチャーを変えていったように、飛行機産業でも新しい価値を生み出したい」(藤野道格(みちまさ)HACI社長)。この思いが長い道のりを進む後押しをした。
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