誰一人取り残さない教育のため、低価格に挑戦
教育を止めない――この大前提から、教育向けPC選びでは性能が非常に重要だ。では、性能を見るにはどうするか。CPUや記憶容量に着目するのが定石だろう。そうしたスペックだけで見ると、CPUがCeleron N4020、記憶容量64GB、メモリ4GB※となっているマイクロソフトの新たな教育機関向けPC「Surface Laptop SE」に不安を感じても不思議ではない。とくにCPUのCeleronは、「動きがもっさり」というネット上の書き込みも目立つため、動画を活用した学習やプログラミング学習には使いにくいと想像する人がいるかもしれない。
※Surface Laptop SEの2万7800円(税抜き)のスペック。同製品は3万6800円(税抜き)のものもある(メモリ8GB、CPUはCeleron N4120、記憶容量は128GB)
ところが、実機を触るとそうした懸念は無用だとわかる。論より証拠、まずは動画で見てほしい。プログラミング教育から社会、数学、ダイバーシティー&インクルージョンまで楽しく学べる教育版「マインクラフト」は、使っている機種によっては「動作が重い」との声も上がるが、Surface Laptop SEだと以下のようになる。
ご覧のとおり、3Dの立方体ブロックや精細なアニメーションが使われているにもかかわらず、動きは“サクサク”と実に軽快だ。「マインクラフト」だけでなく、WordやExcel、PowerPointといったOfficeアプリもすぐに起動し、ストレスなく動かすことができる。「実は私も、CPUを聞いたときは少し不安だったのですが、実際に使ってみてその懸念はすぐに払拭されました。スペックに疑問を感じる方は、まずは体感いただきたいです(※貸し出し機のご相談はSurface窓口 0120-913-364 まで)と話すのは日本マイクロソフトの岡涼平氏。開発は教育現場からのニーズを受けてスタートしたという。
「マイクロソフトでは、すべての子どもたちと先生がより多くのことを実現できるようにするため、『誰一人取り残さない教育』を目指しています。しかし、多くの教育現場からの声を聞く中で、それには教育の質を担保したうえで、お求めやすい価格でなければならないことを感じていました」
岡氏によれば、最も多く寄せられた声は「Surfaceはよい製品だが高価」ということだった。従来のSurfaceシリーズは最安で4万7800円。GIGAスクール構想の端末の補助金は1台4万5000円であるため、端末料金だけで上回ってしまう。「普段使いで慣れたWindowsプラットフォームで教えたい」という教員からの声も多かったというが、価格が障壁となっていた。「質の高いICT教育を、予算で諦めてほしくなかった」(岡氏)という思いが、「低価格で高性能なPC」を新開発するモチベーションとなったのだ。
教育に最適化したOSを開発し、CPUも緻密に調整
ではなぜ一気に2万円台にしたのか。前述したとおり、GIGAスクール構想の補助金が1台4万5000円であることを考えれば、そこまでしなくてもいいような気もしてしまう。その点について、岡氏は次のように説明する。
「情報テクノロジーは日々進化しています。先生方が、新たに授業で活用したいソフトやICTサービスが出てくることもあるでしょう。ですから、補助金の額をターゲットにするのではなく、そうした選択の余地を狭めないように、可能な限り価格を低くするべきだと考えました」
価格を大幅に引き下げつつ、性能は教育の質を担保するレベルに保つ――この二律背反を乗り越えるため、マイクロソフトが選んだのは新たな挑戦だった。OSからアプリケーション制御のあり方、筐体の材質や内部設計までゼロベースで見直し、教育機関向けに特化させたのだ。日本マイクロソフトで文教ビジネスに従事する坂巻玲氏は次のように説明する。
「Surface Laptop SEは、最新OSである『Windows 11 SE』の特性を生かしつつ、デザインやUIをシンプルにすることで、より子どもたちが使いやすく、動作も軽やかになるよう設定しています。加えて、CPUやシステムを動かすデバイスドライバ、OSとシステム間のインタフェースなども緻密にチューニングしています。つまり、最新OSを搭載しているだけでなく、デバイスを『教育』に焦点を当ててチューニングすることで、より軽快な動作を実現しています」
つまり、表面的な機能だけでなく、PCの根本的な構造まで見直したということだ。結果として、教育機関にとって管理しやすいパッケージとなった。
「アプリケーションやツールの制御は、IT管理者しかできない仕様となっています。これは、『もう少しデバイス管理を容易にしたい』『子どもたちにより安全な環境で学ばせたい』という先生方からのフィードバックに基づいたもので、ユーザーは Microsoft Storeへのアクセスやインターネットからアプリをダウンロードしたりインストールしたりできないようになっています」
設定管理もMicrosoft Intuneというクラウド管理ツールで一元的にできるため、子どもたちのPC端末を一台一台教員が設定する必要もない。学校における働き方改革にも貢献できるPCなのだ。
真に「学び」に集中できる環境が整う
自由にアプリをダウンロードできないと聞けば、「制限している」と否定的に感じられるかもしれないが、これは子どもたちの安全を最優先に考えた結果だろう。授業においては、より「集中しやすい」ツールになっているといえる。岡氏は、自身も使ってみることでそのことを実感したようだ。
「Surface Laptop SEを長期間使ってみて、『学び』に集中できる設計だと改めて思いました。例えば、アプリを開くと全画面で表示されるようになっていたり、設定画面も厳選された項目のみが表示されるようになっていたりと、子どもが気を散らさない工夫が随所にされているんですよね。細かいところでは、バッテリー駆動時間が最大16時間だったり、インターネットにつながらないオフライン環境でもWordやPowerPointなどのOfficeアプリが利用できたりするのも、使い勝手がいいと思います」
ちなみに、オフライン環境で保存したデータは、オンラインにつながった時点でシームレスにクラウド保存されるようになっている。ネット環境がない場所や、通信状態が不安定なときでも安心して学びを継続できるというわけだ。
前出の動画で紹介した教育版「マインクラフト」や、ディスカッション力や自己表現力、語学力を伸ばすのに適しているとされる教育向け動画ツール「Flipgrid」などがプリインストールされているため、学びをすぐに始められるのも見逃せないポイントだ。
「Microsoft認定教育イノベーター(MIEE※)に参加している先生方の多くが『マインクラフト』や『Flipgrid』を授業で活用されていますが、ITの活用により自分に自信が持てるようになった児童・生徒も出てきているそうです。あまり発言のなかった子が生き生きとリーダーシップを取ったり、手書きでは作文をなかなか提出しなかった子がキーボードで流暢に文章を紡いだりと、主体的かつ意欲的な学びを促す効果も見られます」(坂巻氏)
※Microsoft認定教育イノベーター(MIEE)は、教育現場でテクノロジー活用を先導する教育者が集まるマイクロソフト公式のプログラム。毎年5月ごろから、こちらのページで参加応募を受け付けている。
子どもたちの意欲や能力を引き出すICTツールもサクサク使えるうえ、マイクロソフト製品の特徴の1つであるアクセシビリティー機能も充実している。
「目に見えない発達障がいなどを持つ子どもが1クラスに6.5%※程度いるといわれています。アクセシビリティー機能の向上には会社として非常に力を入れています。例えば、Windowsは OS で唯一ユニバーサルデザインのフォントを標準搭載していますが、それを活用して識字が困難だった子どもへの配慮をされているという先生の声もいただいています」(坂巻氏)
※文部科学省「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」(2012年)
最新世代のCPUと容量の大きさが性能の優劣を決める――そんなPCの常識を覆したマイクロソフトの挑戦。その卓越した技術を支えているのが、単純な競争原理ではなく「誰一人取り残さない」という温かい思いであることは、大きな意味を持つ。「ここまで教育に特化したPCはこれまでなかったと自信を持ってお勧めできます」と今回取材した日本マイクロソフトの両氏が胸を張るのもうなずけるSurface Laptop SE。予測不可能な時代を迎えたからこそ忘れてはならないパッションが、2万円台の高性能PCという新境地を開いたのではないか。
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