次世代教育にはプログラミング的思考が必須

日本のプログラミング教育において、最近のエポックメーキングな出来事といえば、2020年度に小学校でプログラミングが必修化されたことだろう。

文部科学省によると教育のねらいとして、「プログラミング的思考を育むこと」「情報社会がコンピュータをはじめとする情報技術によって支えられていることなどに気付くこと」などが挙げられている。プログラミング教育が必修化になった背景について、沼田氏は次のように考察する。

GMOメディア株式会社
サービス開発部 コエテコ byGMOサービス責任者
沼田 直之 氏

「産業分野におけるデジタルシフトが進む中、かねてデジタル化を推進するIT人材の不足が懸念されていました。経済産業省の『IT 人材需給に関する調査(2019年3月)』によると、2030年にはIT人材が79万人足りなくなるというシナリオも公表されています。こうした未来を見据え、教育と経済社会を結びつける流れのひとつに、プログラミング必修化があるとみています。

また、プログラミング教育には職業文脈と学び文脈があります。学びに関しては、プログラミングスキルの習得を通して論理的思考力が養われます。このように、プログラミングは将来の職業の選択肢を増やすことだけに価値があるのではない、という部分も必修化のポイントではないでしょうか。さらに最近はプログラミングを活かして中学生で起業するケースも出てきており、プログラミングが子どもの可能性を広げる一助になっていることは確かです」

プログラミングを学びに取り入れる流れは、国内に限らない。米国では"Science, Technology, Engineering and Mathematics" すなわち科学・技術・工学・数学の分野に注力する教育モデル「STEM教育」が2000年代から注目されはじめた。ロボットやIT技術に触れて「自分で学ぶ力」を養う新時代の教育方法で、そこにはプログラミングも含まれている。

沼田氏は「2024年度の大学入学共通テストには、プログラミングや情報セキュリティの基礎を問う新教科『情報』が追加されます。第4次産業革命以降、GAFAを筆頭に世界のトップ企業は情報産業が占めており、あらゆる業界にITが浸透しています。これからもIT人材のニーズは高まる一方だと予想しています」と語る。

いま求められているのは教室の情報と実体験

時代の変化に敏感な親から熱視線を注がれているのが、プログラミング教室だ。コエテコ byGMOに掲載の教室数は日本全国で1万900教室(2021年6月)にのぼり、前年同月比で1,000教室以上増。船井総合研究所と共同で実施した「2021年 子ども向けプログラミング教育市場調査」によると、2025年には400億円市場に拡大と予想されている。

プログラミング教室の数が増加する中、コエテコ byGMOは教室選びに迷う親の情報源として活用されている。コエテコ byGMOを立ち上げた沼田氏自身も、現役のエンジニアだ。学生時代に、楽天やライブドアなど国内でのインターネット関連企業の躍進を目の当たりにし、IT業界を志した。プログラミングスクールに通い、IT企業に身を置きながら、叩き上げでスキルを磨いてきた。

仕事を通して情報産業の成長を肌で感じてきたというが、コエテコ byGMOの着想につながったのは、私生活で3児の子育てをする中での課題感だった。

「子どもの習い事を探す中で、ネット上に情報が乏しいものがあることに気づきました。大人向けのスクールを比較するポータルサイトはあるのに、子ども向けの情報があまりないのは、経済圏がないからではないかと。ただ、子育てにおいてのその課題を見過ごすことはできず、2017年にコエテコ byGMOの前身となるサービスの素案を社内で提出しました。」

そこから、沼田氏自身のバックグラウンドと時代の要請がマッチしたことから、プログラミング教室のポータルサイトとしてのローンチに至ったという。

現在、掲載数No.1(※)のプログラミング教室のポータルサイトに位置づけられるコエテコ byGMO。こだわっているのはコンテンツの質だ。保護者が教室選びに悩むポイントを見極めてクオリティを担保している。教室を比較しやすいページデザインにもこだわった。都道府県、駅・路線、地図、スクール名など複数の入り口があり検索性も優れている。(※ 2020年12月時点、MMD研究所調べ)

ときに1万字を超える取材記事で、教室運営者の想いを伝える情報も発信。教室選びの基礎知識など、親が知りたい情報を漏れなく掲載している。さらに、リアルなイベントも積極的に行っており、子どもがプログラミングを実体験できる機会を広げている。

プログラミングで得た学びが日本の未来を拓く

「プログラミング的思考を身につけた子どもは、VUCA時代に強い」と沼田氏は言う。システムエンジニアやプログラマーなどIT関連の職業は、IT産業全体の地位向上にともない、優秀な人材は高収入が期待できる。

「製造から金融まで、あらゆる業界にITは浸透しています。これからもこの流れが広がり続けるのは間違いないので、IT人材は足りない状況が続きます。需要と供給がマッチしないので必然的に年収は上がります。さらに、ドローンが日本中を飛び回ったり、eスポーツが普及したりする時代は、もう目の前まできています。IT産業の土台となるプログラミングの知識とスキルを身につけることが、子どもの未来を広げることにつながるのは間違いないです」

プログラミング的思考ができる人材や、IT人材の増加は日本社会の先行きを占ううえで重要なファクターだ。

「現在、日本企業はクラウドや業務システムなど、アメリカのサービスを使っていることがほとんどで、日本企業は遅れをとってきました。しかし、まだ逆転できる可能性はあります。たとえば、GIGAスクール構想で1人1台PCを配ることになりましたが、ここまでしている国はおそらく他にないのではないでしょうか。IT教育の裾野が広がっていくことで、IT産業で海外に対抗できる力は必ず養われるはずです。」

ここ20年を振り返るだけでも、コンピュータやインターネットの進化は著しく、人間の予想を遥かに超えるスピードで社会は変化している。予測困難で不確実(VUCA)な時代を前向きに受け止め、力強く生きるためにも、幼少期からプログラミングに触れることが有効なのではないだろうか。

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