「とりわけ地方では、非常に遅れている学校が少なくない印象です」

すっかりおなじみのキーワードとなった政府主導の「GIGAスクール構想」。児童・生徒1人1台の学習用端末と、高速ネットワーク環境などを整えることを目的としており、当初は2023年度までに実現する計画だった。だが、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大などの影響で、予定より3年前倒しされ、20年度中の実現を目指すこととなった。21年3月時点で97.6%の自治体が20年度中に端末の配備を完了する見込みで、20年8月の時点で1.6%だったことを考えると、驚異的なスピードといえる(※1)。

ただ、これはあくまで自治体、つまり公立の学校の話だ。Googleが提供する教育機関向けのクラウド型グループウェア「Google Workspace for Education」の導入支援や、学習用に設定した「Chromebook」の販売などを行っているサテライトオフィスの執行役員、岡裕明氏は次のように語る。

サテライトオフィス 執行役員
岡 裕明氏

「私立の小中学校から、『なかなか予算が確保できず、端末配備の計画すら立てられない』というご相談をよく受けます。とりわけ地方では、非常に遅れている学校が少なくない印象です」

これは岡氏だけの感覚ではなく、政府も認めている事実である。21年2月の衆議院予算委員会の分科会で、文科相は「私立(の小中学校)の皆さんも、同じような環境を整えていただく努力をしていただきたい」と発言している。

私立で整備が遅れている要因の1つに、公立と私立の補助金の差が挙げられる。私立の端末1台当たりの補助金額は、公立の半額。修理や更新の費用まで学校が負担しなければならないという点も、整備を遅らせている。定員割れなどで財政難の学校であれば、新たな投資に対して及び腰になるのも無理はない。

しかし、そうやって躊躇しているうちに、端末の調達自体が困難になるおそれがあるという。

「文部科学省は、高校にも1人1台端末を整備しようとしていて、『高校GIGA』ともいわれている状況の中で、端末が枯渇しつつあります。すでに、これまで毎年順調に端末を調達できていた学校で、納期が遅れるなどの影響が出ています」(岡氏)

21年2月時点で約9割の自治体が公立高校での1人1台端末の整備を目指している(※2)。文部科学省の「令和2年度学校基本調査」によると、全国の公立高校の数は3537(私立は1322)、在学者数は206万5980人(同101万7632人)、つまり、単純計算で3000以上の高校が約180万人分の調達に動くということだ。

「端末を配備できても、今度は運用の問題があります。当然、グループウェアなども初めて使うわけですから、『どうすればいいかわからない』と途方に暮れる学校は少なくありません」(同)

※1 文部科学省「GIGAスクール構想の実現に向けたICT環境整備の進捗状況について(速報値)」
※2 文部科学省「GIGAスクール構想における高等学校の学習者用コンピュータ等のICT 環境整備の促進について(通知)」

ICT環境の未整備は教育格差を生みかねない

まだ端末を調達できていない学校にとっては、ICT教育のスタートラインも見えない状態だろうが、安易に先送りするわけにもいかない。新型コロナの感染拡大で明らかになったように、「いつ、いかなるときも学校で学べる保証」はどこにもないからだ。

感染症のパンデミックのみならず、地震や台風、豪雨といった大規模な災害は毎年のように起こっている。端末と教育用グループウェアなどを用意しているかどうか、その違いが、大きな教育格差を生じさせる可能性があるのだ。

通常の教育現場において、すでに効果を発揮しているケースもある。例えば、「Google Workspace for Education」であれば、課題の進捗を1カ所で管理し、キーワード検索で必要な情報にすぐアクセスできるため復習がしやすい。

また、1つの課題に対して教員と児童・生徒が同時にコメントしたり、画面に映しながら複数でディスカッションしたりすることで、コミュニケーションも深めることができる。

さらに、課題を「Googleドキュメント」に保存し、「Gmail」や「Googleカレンダー」と連動させれば、スケジュールの共有や提出期限の通知・確認なども容易になる。児童・生徒にとっては学びやすく、教員は雑務から解放されるというわけだ。

「ある私立学校では、保護者にも『Google Workspace for Education』のアカウントを発行し、大量の連絡プリントをなくすことに成功しました。児童・生徒が保護者にプリントを渡さないことで起きる連絡不達が防げますし、保護者はスマホで容易に確認できます。学校にとってもコスト削減や教員の負担軽減が期待できるので、非常に好評です。

学校の図書館のマルチメディアセンター化や不登校の児童・生徒への対応にICT機器を活用し、効果を発揮している事例もあります。場所を選ばず教育環境にアプローチできるメリットは非常に大きいですね」(同)

通常の半分以下の時間で環境整備が可能な理由

とはいえ、どうやって端末の調達や教育用グループウェアの運用を進めればいいのか、見当もつかない教職員も少なくないだろう。こうした教職員にとっては、煩雑な手続きや端末の調達を含めたトータルな導入支援を実施しているサテライトオフィスの存在は心強いのではないだろうか。

サテライトオフィスは、「Chromebook」 および「Google Workspace」の導入・運用などのサポートに幅広く対応している

「おそらく端末の調達に2カ月以上かかるベンダーがほとんどだと思いますが、弊社は最短1カ月程度で配備できます。『Google Workspace for Education』などのグループウェアも、1カ月程度で運用ベースまでこぎ着けられます」(同)

そこまで早くできるのは、同社が学校現場の実情を熟知しているからだ。端末の調達はキッティングからラベル貼りなどの細かい作業まで手厚く、グループウェアの導入は初期申請から利用開始までのサポートを無償で実施。専門のメンバーが担当となり、それぞれの悩みやニーズにオーダーメイドで対応している。日進月歩のテクノロジーに対応できるよう有償サポートも用意しており、新たな機能が登場したときにもすぐに確認・相談することができる。

手軽に機能を拡張できるアドオンサービスを自社開発している点も同社の強みだろう。21年3月現在で約5万社が導入、アカウント数は1100万を超えていることから、教育現場でも授業や取り組みの内容、各学校の状況に合わせて、“ICTでできること”を増やしていけるのだ。

「学校での利用が多いのは『シングルサインオン』です。各家庭のWi-FiやフリーWi-Fiといった必ずしも安全ではないネットワークからのアクセスを制御できるため、個人情報の漏洩を防止できます。災害時の安否確認のほか、体温やせき、倦怠感などの症状を即時データベース化できる『安否確認』は、コロナ禍ということもあり、よく使われています」(同)

これらのアドオンサービスは、教育現場の場合、通常より低価格で提供している。

「弊社は、日本国内でまだクラウドというワードが一般的でなかった、06年にクラウドサービスの分野に参入し、当時から幅広い業界のサテライト環境での作業をサポートしてまいりました。いつでもどこでも必要な情報にアクセスできるクラウドサービスのメリットを長く享受していただきたいので、ご利用しやすい価格でご提供しています」(同)

もちろん、BYOD(Bring Your Own Device)の進め方や予算に応じた導入・運用の方法も相談できる。コロナ禍によって急速なICT化が求められている中、「乗り遅れてしまった」と悲嘆に暮れている学校は、まずは気軽に問い合わせをしてみてはいかがだろうか。

お問い合わせ

サテライトオフィス
https://www.sateraito.jp/