「機動戦士ガンダム」と「ジブリ」の意外な共通点 保守主義思想から読み解く
宮崎駿アニメに見いだされる「満州の影」
杉田俊介(以下、杉田):安彦良和作品にも関連して、ジブリ作品についての話も少し聞かせていただければと思います。『宮崎駿論』では宮崎駿さんの全キャリアをたどり、物語に埋め込まれた宮崎さんの「家族」「自然」「労働」といった思いを浮き彫りにしようと努めました。
以前、中島さんがこの本の書評を書いてくださってとてもうれしかったんです。中島さんはそこで、「この世界の希望は、普遍的に『魔女の宅急便』に収れんするのではないか」と書いていました。宮崎作品のなかで何がお好きですか。
中島岳志(以下、中島):やっぱり『魔女の宅急便』がいちばん心地がいいというか、いちばん好きです。
杉田:ほかに何か気になるジブリ作品はありますか。
中島:『千と千尋の神隠し』はすごくコンセプチュアルな作品で、宮崎さんがそういうものを描きたいという意図は何となくわかるけれど、あまりにもいろいろなものがパッチワークになりすぎている、という印象を持ちました。
杉田:油屋にせよ神々の住む町にせよ、モダンなものとアジア的なものがごった煮になって、どこか満洲国っぽさがあるように感じます。
中島:そうですね。