韓国大統領選、文氏が優勢だが問題だらけ 勝っても得票率が40%未満なら政権は不安定

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投票は目の前に迫った。有力候補者5人の得票率に関心が高まる。左から、文、洪、劉、沈、安の各候補(写真提供:ソウル新聞)

5月9日の韓国大統領選投票が目前に迫った。最大野党「共に民主党」前代表の文在寅(ムン・ジェイン)候補の優勢が伝えられる中、各候補者がどの程度の得票率を占めるかにも関心が高まっている。今回の得票率によっては、次期大統領の国政運営を左右し、今後の政界地図にも少なからず影響を与えるためだ。

当記事は「ソウル新聞」掲載記事の日本語訳です(一部、理解を助けるための加筆をしています)

文候補には事実上、当選以外のほかの選択肢がない状況だ。今年4月初旬の世論調査で、第2野党「国民の党」共同代表の安哲秀(アン・チョルス)候補にきわどいところまで追いつかれたときも、当選可能性では圧倒的な1位を記録している。特に、大統領選に2度目の挑戦となる文候補は、今回敗北すれば政界引退が避けられない。

もちろん、当選しても得票率が40%以上かそれ未満かによって、今後の国政運営も変わってくる。40%を超えれば、共に民主党中心の野党の大統合がなされ、安定した国政運営が可能になる。しかし、30%台の得票率で辛勝となる場合、任期中はほぼ、与党・自由韓国党と国民の党からの強い牽制に直面してしまうだろう。

一方、自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補にとって、30%台後半の得票率となれば大逆転勝利となる。これが最善のシナリオである。負けても30%を超えた次点となれば、洪候補にとって政治的に悪くない。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾・罷免で党が崖っぷちに追いやられた厳しい状況でも、その程度の結果が得られれば善戦したといえよう。

得票率で引退、政党の存廃が決まる

このような結果になれば、自由韓国党は再起のための足がかりをつかみ、来年に予定される統一地方選挙で大反転を期するものと思われる。洪候補の存在も、保守勢力にとっては新たな求心点として浮上する。が、得票率が20%に達しない、あるいは安候補の後塵を拝して3位となれば、洪候補が政界引退を迫られる可能性も出る。となると、自由韓国党は”歯の抜けた虎”となってしまい、政界での地位が転落してしまうだろう。

安候補は4月初旬に支持率を上昇させ、得票率を高められるという希望があった。もし安候補が勝てば、国民の党が共に民主党と自由韓国党、「正しい政党」まで吸収し、巨大政党へ飛躍するとの予測もあった。負けても20%を超え次点となれば、国民の党がキャスティングボードを握る政党として存在感が高まる。ただ、15%未満なら安候補の政治的立場は消滅、国民の党は共に民主党との合併圧力を受ける可能性が高まってしまう。

ちなみに、正しい政党の劉承旼(ユ・スンミン)候補は、当選するかしないかは関係なく、2桁台の得票率を獲得できれば政治的に成功したと言える。「正義党」の沈相奵(シム・サンジョン)候補(女性)を制して4位となれば、彼の自尊心を維持できるものと思われる。2桁台の得票率、4位維持の2つとも失敗した場合、正しい政党は存在意義が問われることになる。

正義党の沈候補にとっても、劉候補と同じ目標を達成できるかどうかが、勝負の分かれ道になる。だが、沈候補は劉候補とは違い、国会内での交渉団体ではないため、目標達成に失敗したとしても政治的には生き残る余地があるだろう。

イ・ヨンジュン 「ソウル新聞」記者
ホン・ヒギョン 「ソウル新聞」記者
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