私は公立小学校の教師として23年間教壇に立ち、担任として650人の子どもを受け持ちました。公立ですので実にいろいろな子どもたちがいました。”しつけ”という点から見ても実にさまざまでした。
食後の歯磨きが当たり前にできる子と、できない子。食事のマナーが身についている子と、そうでない子。あいさつがよくできる子と、できない子。整理整頓ができる子とできない子。やるべきことをてきぱきできる子と、人の2倍の時間がかかる子。実にいろいろです。
でも、子どもたちと毎日一緒に過ごしていて本当に大変だとか、将来が心配だとか思わせる子は、しつけができていない子ではありません。それは、「自己肯定感」と「他者信頼感」が持てないでいる子です。
「自分は何をやってもダメだ」
歯磨きができない子でも、歯磨きの大事さを説明してあげて、やるように促せば、そしてできたことを認めてあげれば、だんだんできるようになります。食事のマナーが身についていない子も同じです。もちろん、簡単に身につかないものが多いですが、それでもすこ~しずつよくなってはいきます。
ちょっとくらいしつけが不十分でも、子どもらしい素直さと元気があれば大丈夫です。この2つがあれば、先生の話も素直に聞けますし、ちょっと褒めれば元気よく頑張ってくれます。ですから、だんだん何とかなっていくものなのです。
でも、自己肯定感と他者信頼感がない子は、そうはいきません。自分は何をやってもダメだと思い込んでいるので、頑張る元気もわいてきません。
また、他者を信頼することができないので、先生の言うことを素直に聞けません。ほかの子を信頼することもできないので、友達もできにくいです。他者に対して被害妄想的になっていることが多いので、自分を守るために攻撃的になってしまうことも多いです。
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