貧困とセックス、いずれ最底辺は銃を持つ 格差を放置すれば日本も銃社会に突入する

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アンダーグラウンドの取材を長らく続けてきた鈴木大介氏(写真左)と中村淳彦氏(右)
東洋経済オンラインで貧困に喘ぐ女性の現実を連載するノンフィクションライターの中村淳彦氏と「貧困報道」は問題だらけだを連載するルポライターの鈴木大介氏。この2人が、性産業の問題から教育・福祉・介護の悲惨な状況、日本社会の構造的問題にいたるまで、計12時間にわたる対談を行った。その全容は共著『貧困とセックス』(イースト新書)に収められているが、ここでは前後編に分けて、そのうちのエッセンスを紹介。今回は後編だ(前編はこちら)。

超高齢化社会による介護のラッシュ

鈴木:現在進行形の貧困問題は、過去に貧困をケアしてこなかった結果です。そのツケが、最近一気に噴出した。わかりやすいのは、戦災孤児。彼らが体験した貧困のその後のケアに、土木だとか港湾労働といった単純労働に就かせた。新しい産業を興して人手が不足の産業に貧しい人を誘導したわけです。その産業のラッシュが終わったら、彼らに対して次のケアをしない。その人たちは貧困老人になり、孫、さらにひ孫の層まで、何世代にもわたって貧しい状態が続く。

中村:今の混乱は、歴史的に底辺層のケアをしなかったことが根底にあるのか。労働力が必要なときにだけ使い、使い捨てにしたことが現在の貧困問題の根底にあると。

介護の職場の労働環境は社会問題になっている(写真:わたなべ りょう / PIXTA)

鈴木:今で言えば、超高齢化社会による介護のラッシュです。外国人介護職を入れて、超高齢化社会が終わったら、たくさん集めた人材をどうするつもりでしょう。外国にまで労働力を求めて、使い捨てですか?

中村:今、介護は儲けたい業界上層部が目の色を変えて外国に視察に行っている。彼らは「超高齢化社会がアジアで最初に訪れる日本で介護を覚えれば、自国で将来的に役立つ」みたいなことを言う。使い捨ては匂わせているかな。知るかぎりの悪徳経営者層の顔ぶれと今の介護の状況を見ていると、たぶんブラック労働させる。

鈴木:それは本当にヤバイ問題。開発途上国の人を自分たちの都合で使うなんて、怖い社会です。きちんと使うならいいけど、自国民すら使い捨てだし、期待できない。弱者、弱者と言うけど、どんな弱者でも、毎日毎日いじめられていたら、あるとき、突然、刃物を持って襲ってくる。人を搾取して捨てる行為は、最終的に残酷な結末につながることは、つねに認識したほうがいい。

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