秋葉原"少女売春が放置されている街"の真実 本当に「日本のダークサイド」なのか

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また、彼女たちとは別にビラ配り禁止区域に立つJKリフレの広告ビラを配る女性も少なくない。年齢層はJK散歩と変わらず19歳以上だが、最初から密室に向かうのが特徴だ。1万3000円の”恋人コース”の内容を尋ねると、添い寝と”好きなだけ、好きなように抱きつける”のがその内容だという。もっと濃厚なサービスは?と質問すると、明確な否定はしない。

秋葉原は、そこまで不健全な街ではない

AKBシアターがありメイドカフェが軒を並べる秋葉原の周囲に、”JK”をイメージさせる風俗が集まってくることは否定できない。想定顧客が集まる地域に、関連ビジネスを展開する業者が集まり、創意工夫でビジネスを構築していく様子に洋の東西はなく、日本の秋葉原でも同様の光景が見られるのは当然のことだろう。

しかしながら、溢れんばかりの児童ポルノと児童買春・売春が集まる風俗の街・秋葉原というレッテルは、必ずしも正しくないというのが、実際にこの街を取材した筆者の結論だ。同じような光景は、世界中のさまざまな地域で見られる。

2020年の東京オリンピックを迎えるにあたって、少女達による客引きには、何らかの対策は必要であろう。しかし、児童の人身売買や人権保護のために国連など海外の組織に訴え、外圧を用いて現状を変える道が正しいかと言えば大きな疑問符がつく。

とはいえ、もし筆者の娘が秋葉原のJKカフェで働きたいと話したなら、間違いなく反対するだろう。しかし、JKカフェの手法はメイドカフェの延長線上にあり、これを摘発対象とするのは無理がある。

前田氏への取材で感じたことだが、JKビジネスは風俗店よりも、ギャル系モデルの派遣事務所や小規模な芸能事務所に近い管理を行っている。保護者の承諾書を得たり、近くの公共交通機関までは送り迎えしたり、あるいは少女たちがお金欲しさに密着サービスに走らないよう監視し、警察に自ら情報を出して取り締まり強化を訴える。

今回は取材できていないが、撮影会もギャル系モデルのマネジメント(派遣)会社などとの境目も曖昧だ。中には問題となる業者や、問題を承知の上で少女たちを斡旋しているところもあるだろうが、その線引きは難しく規制は難しい。合法であることと、健全であることは違う。

ただ、ひとつ言えるのは、こうした問題を解決するために、秋葉原の実態を知らない遠い場所……すなわち外圧に頼っても、実情に合った議論はできないということだ。人権問題として訴えることで外圧を加えると、情報が拡散される中で単純化され、いらぬ誤解を生む。さらには、日本を敵視するような勢力に政治的に利用されるなどの問題も起きるだろう。

未成年の女性が風俗産業へと足を踏み入れていくことを防ぐには、実態に沿わない、誇張された”児童ポルノ児童売春の街・秋葉原”を発信するのではなく、現実を直視した上で社会ルール作りを行っていくべきだ。実態を捉えることができなければ、正しい解決方法も見つかることはない。願わくは、本稿をきっかけに問題解決の議論が活発になってほしいものだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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