「夫側の正月」を優先する時代は終わっている 昔はイヤでも「夫の実家で年末年始」だった

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一方ある友人は、滅多に来ない息子夫婦のことを、「こちらから言ってまで来させようとは思わない、言わなくとも判ることだから」と嘆きます。息子たちは気づかないのか居直っているのか知りませんが疎遠になる一方で、親の不平不満が募る悪循環です。

その割には滅多にない機会で交わす些細な言葉の綾で、お互いの感情はもつれっ放しです。この友人は息子に最初から要望も希望も言わず、教育もしていませんから、気楽を覚えた若夫婦に成長や変化がありません。

要望も出さず教育もしないなら徹底してそれを貫き、不満も一切言うなといってやりたくなります。

親の思いを伝え「実家との付き合い方」を教える

久田様、私なら息子さんに、次のように一度だけ伝えます。

「誕生日以外、息子たちと食事をしながら談笑できないのはとても寂しい。親は幾つになっても子供たちが幸せに暮らしているか、困ったことがあれば何か手伝えることはないか、気にしているものだ。お嫁さんはともかく、息子だけでも時々は顔を見せにきてほしい。

特に日本全国で、多くの家族が睦んでいるお正月に息子たちの訪問がないのは、とても寂しい。これも時代の流れだから、お嫁さんにまで、首に縄をつけるようにして連れてきて欲しいとは言わない。

しかしせめて息子だけでも、先方に一日だけ遅れて行くか早く帰ってきて、正月を私(久田様のこと)と過ごしてくれないか?それは大晦日でも大歓迎(私ならこんなに下手に出ませんが)。

親は、子供たちが仲良く会食し談笑するのをみるのが、最高の幸福の一つ。できれば隔年でも良いから、兄弟一緒に来て欲しい。」

「あなたの私への想いに疑いを持ったことはないが、それでもこれは寂しすぎる。私の今際の際(いまはのきわ)には、『これから親孝行しようと思っていた矢先だったのに』といって、人前で人並みに、ゆめゆめ泣いてくれるな。シラケて息を吹き返すと困るから」と、皮肉の一つも言ってやります。

私ならこのように、希望と教育を兼ねて一度だけ言います。それで効果がなければ、そのように育てたのは自分だったと、息子を待つのをやめます。

希望を伝えずに、気を揉んで子供が気付いてくれないことにヤキモキしてはいけません。一度でも明確に伝えて、鈍感な子供を教育するのも、子供が結婚後に実家と関係を保つために大切なことなのです。

本コラムが今年最後のコラムになります。皆さん、今年も暖かくご愛読いただき、ありがとうございました。心より感謝申し上げます。皆さんが暖かいお正月と、幸多き新年を迎えられることを祈念しております。よいお年を。

ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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