中国人は、なぜ米国の不動産を狙うのか 購入金額は米国人住宅購入者の3倍以上

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こうした中国人による不動産投資ラッシュは、チャイナマネーが世界経済に流れ込み金融市場を変えている、大きな潮流の一部だ。住宅用、商業用の不動産市場で、中国からのキャッシュの流入が、従来からの売買の動向を変化させている。

今年、米国における外国人の住宅購入者のなかで、中国人が初めて最大のグループとなった。中西部では、新築住宅に大きな資金を投じる人々が地域経済を下支えしている。しかし、サンフランシスコやマンハッタンなどの密集地域では、住宅の需要が供給を上回って争奪戦となり、住宅の価格や入手のしやすさに影響が及んでいる。

平均購入価格は米国人の3倍以上

中国人の購入者は、米国の住宅販売全体の中ではわずかな割合を占めるに過ぎないが、その割合とは不釣り合いなほど大きな影響を市場に与えている。というのも、より高額な物件を購入しているからだ。100万ドル以上の住宅では、14軒のうち1軒を中国人が買っている。中国本土、台湾、香港を合わせた中国からの購入者は、一軒の住宅に平均で83万1800ドルを支払っている。全米不動産協会によると、この金額は米国人住宅購入者の3倍以上であるという。

不動産を買っている中国人の中には、純粋に投資目的で購入している人もいる。米国内での賃貸料の上昇から利益を得ようとしているのだ。一方では、自分のおカネを中国政府の手の届かない場所に置こうと考えている人もいる。また、多くの人が子どもたちの教育を念頭に置き、よい学区にある住宅や大学の近くの住宅を選んでいる。

北京の経営・投資コンサルタント、エリック・デューは言う。「北京の不動産価格はとても高い。株式市場は暴落しているし、経済は不安定だ。中国人にはおカネはあるが、よい投資先が十分には存在しないのだ」。

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