放射性セシウムを閉じこめる画期的な技術を昭和電工グループが開発
福島原発事故による深刻な放射能汚染の主な原因物質となっている放射性セシウム。そのセシウムを安全な状態に閉じこめる画期的な新技術を、総合化学メーカーの昭和電工グループが開発した。
昭和電工は7月26日、米国UOP社(イリノイ州)との合弁子会社であるユニオン昭和(本社・東京都港区)を通じて、不溶性フェロシアン化物の安定固化に成功したと発表した。
不溶性フェロシアン化物はセシウムを吸着・除去する特性を持っている。塩分の濃度が高い汚染放射性冷却水の中でも、吸着率が低下しない。しかし、セシウムを吸着したものを加熱すると熱分解してセシウムが揮発するなどの弱点があった。
これに対してユニオン昭和は、東北大学大学院の三村均教授と連携して、使用済み不溶性フェロシアン化物を、ゼオライトと呼ぶ無機物質と混合して加熱処理することなどで、安定的に固化することに成功した。
放射性セシウムを吸着したゼオライトは、高温加熱処理によってガラス化することで、放射性セシウムを閉じこめることができる。
この技術は、福島原発事故の後処理向けの放射性物質の除去装置に用いられる見込み。8月に開かれる日本原子力学会の再処理・リサイクル部会や同学会の9月の大会などで発表される予定だ。
放射性セシウムをめぐっては、溶融飛灰からの分離除去技術をアタカ工機が7月4日に開発したと発表。株式市場でアタカ株がはやされる事態ともなったが、昭和電工グループの新技術は株式市場でどう評価されるか。
(武政 秀明 =東洋経済オンライン)
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