オウム逆転無罪判決で揺れる「裁判員」の意義

高裁の理由づけは説得力があるといえるか

最高裁では「裁判員制度の意義」が再び問われることになる(写真:barman / PIXTA)

オウム真理教の菊池直子元信者の裁判が大きな波紋を呼んでいる。11月27日に東京高裁が下した逆転無罪判決は、量刑の問題などではなく、一審の裁判員裁判でされた事実認定を「経験則、論理則に反する不合理なもの」として否定するものだったためだ。

1995年、オウム真理教によって引き起こされた東京都庁小包爆弾事件で、菊池元信者は殺人未遂幇助の罪に問われていた。2014年6月の裁判員裁判による1審判決は有罪としていたが、これを高裁が取り消した。そして、東京高等検察庁は12月9日、判決を不服として最高裁判所に上告を済ませている。

オウム真理教関係の事件の捜査にも携わった、元検察官の新庄健二弁護士は「1審では有罪となっていた以上、検察が納得できる理由のないまま、ここで確定させてしまうとは考えられなかった。上告するのは十分予想できたこと」と話す。

冒頭にも記したように、今回の判決のポイントは、裁判員裁判でなされた事実認定を、真正面から否定したこと。この事件については様々な論点があるが、1審での裁判員裁判の判断と、2審での職業裁判官の判断が衝突した点に絞ってみていこう。

「高裁の判断は未来につながらない」

高裁は、一審で重要な証拠となっていた井上嘉浩死刑囚の証言について、「詳細すぎる」という理由で信用性を否定し、判断を覆したのだ。これが、今回の無罪判決を導くカギになっている。

しかし、宗教トラブルの法律問題に詳しく、オウム事件についてもメディアで度々発言してきた紀藤正樹弁護士は、「判決の全文を読んだが、具体性に乏しい理由づけで、一審の裁判員裁判での判断を否定している。裁判員裁判の不合理性を指摘するだけでは、姿勢が後ろ向きで、未来につながる判決とは思えない」と、判決に対して大きな違和感を覚えたという。

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