中国から1万8000人が国外逃亡? 汚職マネーが流出する

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2000年末から11年までの間に、中国の検察当局は国外逃亡した職務犯罪(汚職や背任など)の容疑者を1万8487人検挙した。また、最高人民検察院(最高検)によると、5年間(05年、07年、09~11年)で、不正に蓄財された財産は541億9000万元(約7000億円)に達している。

しかし、国外逃亡した汚職官僚(国有企業職員を含む)は少なく見積もっても1万~2万人はおり、持ち出された資金は1兆元(約13兆円)を下らないという見方がある。逃亡犯のあまりの多さに、国民は「逃げ得」ではないかと感じている。

昨年、中国人民銀行(中央銀行)の「腐敗資産の国外持ち出しに関する調査報告書」が社会に衝撃を与えた。報告書には中国社会科学院の調査資料として、「1990年代半ば以降、汚職官僚や国有企業幹部の国外逃亡数は1万6000~1万8000人。持ち出された額は8000億元(約10兆円)」という数字があったからだ。

後に別の政府機関から「データが間違っている」と指摘があり、共産党中央紀律検査委員会の関係者も「8000億元という金額は正確ではない」とするが、この数字は実にショッキングだった。

北京大学「廉政建設研究センター」主任の李成言氏は、「国外逃亡官僚は少なく見積もって1万人近くいて、持ち出し金額は約1兆元(約13兆円)」と推計する。李氏は「1人平均1億元で試算した。国外で国内よりいい生活を送るには十分な資金が必要になる。1人で数億元を持ち出した汚職官僚も多い」と話す。

 

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