大企業が続々参入 植物工場は儲かるか 3年間で工場の数は2倍以上に
光や水、温度を管理した屋内施設で無農薬の野菜を育てる、「植物工場」ビジネスへの企業の参入が相次いでいる。
4月に大和ハウス工業が、レタスなど葉菜類を水耕栽培できる植物工場ユニットを発売したほか、日本GEやパナソニックは、植物工場の開発・設計を行うみらいと組んで、栽培の実証実験を始める。食品メーカーや外食チェーンなども植物工場の運営に興味を示す。
全国で稼働中の植物工場の数は、2009年には約50カ所だったが、12年3月末には127カ所まで増加した。そのうち100カ所超が密閉された空間で人工光を当てて栽培する完全人工光型。残りは太陽光を併用するタイプだ。
植物工場が急増したきっかけは、農林水産省と経済産業省が総額150億円の補助金を出して、建設を促したことが大きい。さらに東日本大震災後、津波による塩害や放射能汚染の問題を抱える被災地の復興の手だてとして、植物工場へ注目が集まっている。
植物工場は設備を買うだけですぐ栽培を始められるうえ、飲食店の店内で栽培できるような小型のものもあるため、異業種から参入しやすい。多くの企業が続々と名乗りを上げるのはそのためだ。
ただし、野菜の生産コストは露地物より高い。植物工場産レタスの価格は1キログラム当たり1100~1500円(露地物は300~600円)。露地物に比べて電気代や空調代などがかさむうえ、一定の品質のものを効率よく大量生産する技術を確立し切れていないためだ。
たとえば、照明の位置で野菜の大きさにバラツキが出てしまう。最適な大きさのものを定期的に収穫するには、生育環境や品種の特性などを考えながら、栽培に適した環境やノウハウを見つけなければならない。