「中日新聞プラス」で新聞離れを防止できるか 中日新聞社がデジタルサービスをスタート

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中日新聞プラスの会員獲得目標は「1年後をメドに、対象となる250万読者のうち、1割の25万くらいの一般会員を獲得できていれば、と考えている」(水野常務)。1契約につき同居家族5人まで会員登録が可能であり、そうした家族会員も含んで25万を目指すという。無料で登録できるだけに、それほど難しい目標ではないだろう。

日本経済新聞社が2010年3月に開始した「電子版」、朝日新聞社が11年5月に開始した「朝日新聞デジタル」は、紙の新聞の定期購読者でなくても申しこむことができる。そのため、電子版のみを購読する読者のことも想定し、紙の新聞に掲載するコンテンツはあまねく電子版でも読める、という設計になっている。

それに対し、中日新聞プラスでは、当日紙面の記事については、一部分しか読めない。「紙の新聞を定期購読しているわけだから電子版であえて同じものを載せる必要はない、という考え。電子編集部がセレクトした記事のみを中日新聞プラスに掲載する。ただし過去記事に関しては全記事を検索できるようにした」(伊藤嘉英・電子メディア局長)。

キラーコンテンツは地方版

中日新聞プラスのキラーコンテンツは愛知、岐阜、三重、静岡、長野、福井、滋賀の7県で発行する地方版紙面(約50紙面)。たとえば名古屋市内に住んでいる読者は「県内版」「市民版」といった記事を読んでいるが、それだけでなく「尾張版」「豊田版」など県内の他紙面を読むことができる。さらに岐阜、滋賀などの地域情報にもアクセスできる。

いったい、どれだけのニーズがあるのか疑問も残るが、小出宣昭社長によると、地方版には確実なニーズがあるという。「地方版には、村長が村議会で橋をつくると説明した、というような記事が載っている。ある土木会社の社長が言うには『これは本当に重要な情報。俺たちの業界は絶対会員になる』と。確実な需要があるんです」(前出『進化する名古屋』より)。

 

 

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