デキる人は「努力」と「正論」を過信していない 酒井穣×太田彩子、2020年「働き方のリアル」

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さかい・じょう●BOLBOP代表取締役CEO。フリービット非常勤取締役(人材戦略研究所・所長)。特定非営利活動法人NPOカタリバ理事。事業構想大学院大学・特任教授(人的資源管理論)。1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。オランダTilburg大学TIAS School for Business and Society経営学修士号首席(The Best Student Award)取得。2015年、介護のことを分かりやすく伝えるメディア「KAIGO LAB」を立ち上げる。

酒井:もうひとつのタイプは、上司でなく「顧客を見る」タイプ。顧客が満足してくれるなら、上司と喧嘩することだっていとわないような人です。

太田:後者のほうが健全なように思います。

酒井:太田さんはね。でも、大学生や若い子たちを見ていると、圧倒的に前者のほうが多いわけですよ。

太田:ああ……なるほど。

酒井:雇用というのは天然資源ではありません。誰かが生み出しているものです。また、雇用は誰もが求めているものです。ですからつねに社会から求められる人材というのは、雇用を生み出せる人間です。

でも、就活生はもちろん、ビジネスパーソンの多くが、雇用主ではなく「雇用主に求められる人材」を目指しがちです。そうなると、どうしてもコバンザメタイプに向かってしまいます。

太田:でも、学生に雇用やポジションを作る能力を求めるのは難しくないですか?

酒井:若いうちはコバンザメでも仕方がないかもしれません。ただ、いつまでも従順でいても、淘汰される可能性のほうが大きいから、できるだけ早く顧客を見るタイプに移行したほうがいいと、僕は思います。

女性には理解できない「根回し」文化

太田:営業部女子課のアンケートでは、「男性社員が上司の顔色をうかがいすぎで理解不能」という声がよく挙がっています。なぜ、もっと自分の意見や気持ちに素直にならないんだろう、って。

酒井:男のほうが、先輩後輩関係に対して、ものすごく従順ですよね。でも、女性の場合は、相手が先輩だろうと平気でタメ口で話すこともあります。僕は女性のやり方のほうがいいと思っていますけど、まあ、なんだかんだで実際の行動は男性的かもしれません。

太田:あともうひとつ、自分の中でいまだ消化できないのが「根回し」です。会議で正論を言っても、納得してもらえないことが過去に何度かありました。それを男性社員に相談すると、いつも「根回しが足りなかった」と言われるわけです。女性の感覚からすると、どうして「根回し」が大事なのかイマイチ納得できないという声をよく聞きます。

酒井:あ、それはあまりよくない考え方ですね。男性にとって「根回し」が大事だということ自体を否定しても、話がはじまりません。

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