iPhoneの「通知」がニュースにハックされた! フェイスブック「Notify」が狙うものとは?

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まだ実験を始めたばかりで、このアプリやその機能が、今後フェイスブックのプラットホームにどのような影響を与えるのか、も含めて注目していく必要がある。また、我々がどのようにニュースに触れるのかについても、Notifyは「ニュース専用の通知」という1つの提案を与えている。

アップルとフェイスブックはそれぞれ、Apple News Format、そしてInstant Articlesというニュース記事に特化したアプリもしくは機能を提供し、媒体にはオーサリングと配信のプラットホームを提供し始めている。
両社ともにその言い分は共通しており、どのデバイスでもより美しく、そして豊かなニュース体験を提供する、というものだ。おそらくアップルは、そうした動機がより強いかもしれないが、フェイスブックとしては、同社が販売する広告プラットホームの活性化を狙う意味合いも強いだろう。

メディアがアプリを作る必要はなくなる?

自分が好きなメディアを登録しておくと更新時に通知が来る、という仕組みだ

メディア企業は、これまで、デスクトップ向け・モバイル向けのウェブに加えて、ニュース用アプリも用意するケースが多かった。しかし、こうしたニュースプラットホームの充実は、今後、メディアを自社アプリ開発から遠ざける可能性もある。アプリは維持コストがバカにならないためだ。

モバイルOS、そしてソーシャルネットワークサービスといった巨大なプラットホームが、ニュースを読む環境とニュースにまつわるデザイン環境、ビジネス環境を大きく変えようとしており、2016年は、その変革がいっそう進むものと考えられる。

Notifyは、ユーザーにモバイルでの新しいニュース体験を提供しながら、フェイスブックに対しては、2016年のニュース戦争を生き抜くための鍵となる情報をもたらすことになるかもしれない。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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