"黒船"シャックバーガーは日本をこう攻める 上陸1号店が東京・青山にオープン

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何より意識したのは、日米の価格差を極力抑えることだ。米国でのシャックバーガーの価格は5.19ドル(約633円)。日本の価格は米国よりやや高い設定ではあるが、「(日本での価格設定でも)実はそこまで粗利は取れない」(ガルッティCEO)という。

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食材は可能な限り、米国と同じものにこだわった

日本の店舗でもニューヨークの味を忠実に再現することにこだわったからだ。そのため、パティ(ハンバーグ)は米国でも使っている豪州産のアンガースビーフを使用するほか、バンズ(パン)も米国から調達する徹底ぶりだ。その分、どうしても食材コストがかさんでしまう。

シェイクシャックは2020年までに日本国内で10店を展開する目標を掲げるが、ほかのハンバーガーチェーンと比べるとかなり控えめな数字だ。店舗網をさほど拡大しない一方、食材費ばかりが重くのしかかるような状況で、はたして日本でのビジネスは成立するのか。

その問いに対し、ガルッティCEOは「成長を急ぐと味をおろそかにしたり、お客様へのサービスが散漫になる」と力説する。店舗数をあえて抑えることでプレミアム感を演出し、消費者を惹きつけるのが同社の狙いだ。

黒船が相次ぐ中で存在感を発揮できるか

今回の日本進出に際して、コアメニューであるハンバーガーでは限定商品を販売しない。当面は米国風のシャックバーガーを定着させることを優先するが、「将来的には日本限定のハンバーガーを投入する可能性もある」(ガルッティCEO)。

今年4月にはメキシカンファストフード「タコベル」が日本に再上陸したほか、米ハンバーガーチェーン「カールス・ジュニア」も2015年冬以降をメドに再進出を計画している。米国発の黒船襲来が相次ぐ中、慎重な出店戦略でどこまで存在感を示すことができるか。シェイクシャックの日本における挑戦は始まったばかりだ。

(撮影:大澤誠)

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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