【産業天気図・通信業】移動体、固定ともに競争激化の懸念。次世代高速無線通信の免許の行方が年内の注目点

通信業界の07年度後半から08年度前半にかけては、引き続き曇り空となりそうだ。
 主要通信事業者の事業は固定通信と移動体通信に大別されるが、その双方でキャリア間の競争が激化。各社が大幅に収益を伸ばせる状況ではなくなってきている。
 まず移動体では、07年8月末以降にNTTドコモ<9427>とKDDI<9433>、ソフトバンク<9984>がそろって基本料金の値下げに踏み切った。各社とも2年間の継続利用を条件に基本料金を最大半額にするという割引プランだが、ドコモとKDDIは08年3月期決算では売上高、利益に対して数百億円規模のマイナス影響が出る。両社はこうした値下げは想定の範囲内だとして期初に公表した業績見通しを修正していないが、影響は09年3月期にかけても続きそう。今年5月以降は、月額基本使用料980円という格安料金プランを打ち出しているソフトバンクが、4カ月連続で携帯電話の純増契約者数でトップを独走している。業界では「基本料金にとどまらず、今後は通話料金の値下げ競争が起きるのでは」(販売代理店)と不安視する声も上がっている。
 固定通信の競争環境も厳しさを増している。近年はNTT<9432>がグループを挙げて顧客獲得を進めるFTTH(光ファイバー)と、ソフトバンクやイー・アクセス<9427>、アッカ・ネットワークス<3764>などが手掛けるADSLの間での競争が白熱。足元ではFTTHのシェアが拡大する一方、ADSL各社の契約者数はマイナストレンドに転じている。とはいえ、FTTHを手掛けるNTTやKDDIでも顧客獲得費用の先行で同事業は巨額の赤字が続いており、なかなか黒字化のメドがつかない状況だ。
 大手通信キャリア各社の08年3月期は移動体事業の拡大でそろって増益の見通しだが、翌09年3月期以降も増益を続けることはそう簡単ではなさそうだ。
 通信業界において、目先で唯一明るいニュースが年内にも予定される次世代高速無線通信の免許開放だ。総務省は最大2事業者に対して免許を交付する方針で、9月10日に申請受付が始まった。第3世代携帯電話を手掛ける事業者は3分の1以下の出資による会社での申請しか認められていないため、NTTドコモはアッカ・ネットワークス、KDDIは京セラ、ソフトバンクはイー・アクセスと組んで申請する方針で、各社ともさらにあと1社以上のパートナーを募集中だ。移動体と固定通信が融合するFMC(Fixed−Mobile Convergence)時代の到来を控え、この免許開放が競争環境に大きな影響を及ぼすだけに、免許取得の行方が注目される。
【吉川 明日香記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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