ホンダの反転攻勢占う「フィット」が大変身 栃木偏重から脱却へ

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磨きをかけるのは居住性と燃費性能

次期フィットでは一つのプラットホーム(車台)で、ハッチバックからセダン、SUV(スポーツ多目的車)をはじめ、複数の派生車を開発する。車台をできるだけ共通化し、上物は現地ニーズに合わせて変えていくイメージだ。現状でもフィットの車台から、セダンの「シティ」など派生車が生産されているが、世界販売は年約80万台(11年)。次期フィットでは新興国でボリュームを増やし、150万台程度を想定しているようだ。ほぼ倍近い数量を背景に、大幅なコストダウンを狙う。

「新興国では値段を大幅に下げる」(同)。価格は国ごとにバラつくが、現行よりおよそ3割減がターゲットだろう。ただあまりコストサイドに振りすぎると、商品力強化がおろそかになる。次期フィットは今までの強みをさらに磨く考えだ。

一つは小さい空間を最大化するパッケージング。前席の下に燃料タンクを置く、センタータンク・レイアウトは次世代も踏襲する。さらにエンジンルームをできるだけ小さくすることで、居住空間を広げる。

もう一つが燃費性能だ。次期フィットには新しいエンジンやCVT(無段変速機)が搭載される。それ以外も「期待を裏切らない新技術を仕込んでいる」(同)。小型車にとって燃費性能は必須科目なだけに、妥協は許されない。

これら二つの要素は、先進国にも新興国にも共通する価値になる。そのうえで地域に合った車造りに変える。世界で通用する真のグローバル車。次期フィットがその高いハードルを越えれば、ホンダは大きな武器を手に入れることになる。

 


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(週刊東洋経済2012年5月12日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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