ホンダの反転攻勢占う「フィット」が大変身 栃木偏重から脱却へ

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栃木偏重から脱却へ 転注が増えている理由

ホンダは次期フィットで、自らの事業構造を根本から変えようとしている。とりわけ狙うのが新興国だ。そもそも新興国では排気量1・6リットル以下の小型車が主戦場で、そのボリュームゾーンに本格参入する。

「これからは栃木ではなく、鈴鹿を見てください」

4月17日に鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)で開催された、サプライヤー会議「SKI」。会議の正式名称は「鈴鹿・軽(自動車)・イノベーション」だ。鈴鹿では11年末から軽自動車「N BOX」を生産しているが、同車に部品を納入、もしくは納入計画のある200社以上が集められた。その席上で、松本執行役員は言い放ったのである。

これまでホンダでは、栃木県にある本田技術研究所の四輪R&Dセンターに開発権限が集中していた。部品の調達先を決めるのも、R&Dセンターの購買本部。だがこれから軽は鈴鹿で決める--。「イノベーション」の真意はそこにある。4月1日には栃木のR&Dセンターから鈴鹿へ、技術者約100人が異動。今後は軽に関する車の開発や部品購買は、鈴鹿で完結させる。

鈴鹿モデルは雛形にすぎない。目下ホンダでは、栃木のR&Dセンターから世界中へ“民族大移動”が起きている。タイでは2年間で開発・購買要員が10倍になり、中国やインドでも急ピッチで増えた。

次期フィットで目指すのは、鈴鹿モデルの世界バージョンだ。開発・購買から生産まですべて現地で行う。栃木のR&Dセンターは、技術開発や基本設計で重要な役割を担う一方、現地拠点は生産に合わせた設計図の見直しや派生車の開発を実施。現地部品の積極採用で地域に合ったコスト構造に変える。生産の現地化は当然で、米国には14年稼働のメキシコ工場から供給する。

次期フィットで転注が多いのは、ホンダの変身が背景にある。「何割と言えないが、新規取引先はかなり増える。少なくとも日本から送る部品は激減する」(同)。日本のサプライヤーには、海外、特に新興国での供給能力がより問われる。

 

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