「運動前にバナナ」は、理にかなった技なのか 巷にあふれる「よもやま健康法」を徹底解剖

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そして「2時間」という制限がついていますから、すぐに血液中でぶどう糖に変わる消化のよい食品や料理ほど、GIが高くなる傾向があります。

これらの食品を過剰に摂ると、ぶどう糖が使い切れずに長時間血液中に留まることになり、糖尿病や肥満の原因になりやすいとされています。要するに「GIが低い食べ物のほうが体によい」ということ。ゆっくりじわじわとぶどう糖に変わっていくため、血液中にたまりにくいわけですね。

もちろん、病気で胃腸が弱ってしまっているようなときには、消化器官の働きが落ちていますので、消化のよいものを食べたほうがいい場合もあります。ですが、健康な人はGIが低い食品を摂ったほうが、糖尿病や肥満を防ぐ意味では体によいということになりますね。

バナナはGIが51ほどで、果物としては平均的なのですが、ほかの果物にない不思議な特徴を持っています。でんぷん、果糖、ショ糖など、それぞれGIが大きく異なるさまざまな糖分が、食物繊維に包まれるように含まれていて、食べてすぐぶどう糖に変わるもの、じわじわと変わるものなどがバランスよく存在しているのです。

チョコレートのGIは?

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スポーツ選手が競技の合間にバナナを食べているシーンをよく見かけますが、これは瞬発力と持久力の両方に好影響をもたらす、非常に合理的な食べ方であると言えます。またバナナ以外でも、果物は全般的にGIが低いので、量さえ守れば糖尿病の人が食べても大丈夫です。

ちなみに、そのほかの果物のGIも紹介しておきますと、パイナップルが59、いちごが49、オレンジが43などという具合になっています。

一方チョコレートの場合はどうかというと、GIが40ほどと以外に低め。こういう食品はじわじわとエネルギーに替わりますので、確かに非常食に向いています。これはチョコレートの原料となるカカオ豆に脂質成分が多く、糖分があまり含まれていないこと、一方で食物繊維は豊富に含まれていることなどが理由です。

ただし、市販されている売れ筋のチョコレートには砂糖を大量に加えたものが多く、実際のGIはさまざまであることを付け加えておきましょう。

またGIが高い食品としてあげられるのは、せんべい(91)、ドーナツ(76)、食パン(75)など。おやつ・間食を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。

「運動前にはバナナ」「非常食にはチョコ」がいい → ○

 

岡田 正彦 新潟大学名誉教授、医学博士

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おかだ まさひこ / Masahiko Okada

新潟大学名誉教授、医学博士。現・水野介護老人保健施設長。1946年京都府に生まれる。1972年新潟大学医学部卒業、1990年より同大学医学部教授。1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」を受賞。専門は予防医療学、長寿科学。『人はなぜ太るのか-肥満を科学する』(岩波新書)など著書多数。

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