外国人が驚く!ニッポンの「鉄道作法」10選 日本の「常識」は海外からみると「ガラパゴス」

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東京の地下鉄は日本人にとっても複雑だ

7)使用済み切符はもらえることも

目的地に着いたら、再び改札口を通り、切符を係員に渡すか、自動改札機に入れると乗車券は回収されてしまうが、このことに驚く外国人もいるだろう。最近では、窓口の駅員にお願いすれば、乗車券を記念にもらえることもある。日本の鉄道利用の記念にしたい外国人には教えてあげたい。

8)「下り列車」「上り列車」は通じない

多くの路線では「下り列車」「上り列車」という言い方をしているけれど、これは東京中心あるいは、地方の拠点を中心に定めた日本独自の言い方である。Down-train、up-trainと英訳しても、まず通じないであろう。

中央集権ではない国では、ありえない表記であり、一般にはnorthern-bound(北行き)、western-bound(西行き)といった方角や、大阪方面、仙台方面といった主要都市を示す言い方しかない。ついでに、東海道線、奥羽本線といった路線名を付けない国もあるので、説明が必要かもしれない。

鉄道会社ごとに違う複雑な運賃

京王線の特急は特急料金がいらない

9)東京の地下鉄は2種類

東京の地下鉄は、東京メトロの路線と都営地下鉄の路線の2種類があり、これは東京の鉄道に不慣れな日本人でもまごつくだろう。海外の都市では、運行主体が異なる複数の鉄道会社、路面電車、バス、さらにはフェリーまでもが同一運賃体系でスッキリしているので、東京の乗り物の分かりにくさは尋常ではない。

この際、詳しく説明するよりも、海外の人が元を取れるだけの鉄道利用を勧めた上で、東京メトロ・都営地下鉄共通1日乗車券(大人1000円)や東京フリーきっぷ(大人1590円)を使うことを教えてあげよう。

10)私鉄の特急券は必要?不要?

私鉄の列車種別についても、外国人が戸惑うケースがある。たとえば「特急」といっても、小田急や東武のように特急券が必要な鉄道と京王や東急のように特急券不要の鉄道があることも伝えておいたほうが親切であろう。

日本人がごく当たり前のように使っている鉄道も、異国からの訪問者にとっては謎だらけの「作法」だ。日本の鉄道は世界の中ではガラパゴス的発展を遂げてきており、世界の常識とはかけ離れていることはわれわれも知っておきたい。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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