お金をかけずにマスコミにとりあげられるユダヤ式PR術 立川光照著

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お金をかけずにマスコミにとりあげられるユダヤ式PR術 立川光照著

充分な宣伝費用がなければ効果的なPRはできない--そういった宣伝に対する一般的なイメージは本書を読めば覆るだろう。無料でテレビ番組にとりあげてもらったりタレントに商品を絶賛させたりといった、コストゼロからできる効果的なPR手法が盛り沢山なのだ。

著者は、宣伝代行業と通信販売を柱とする株式会社メディマックスの取締役CEOである。2009年に同社を立ち上げて以来、「映画レッドクリフ×白木屋」のコラボレーションや、お笑い芸人のアンジャッシュを使った「富士そば」の宣伝など、大型案件で顕著な実績をあげてきた。しかも従来では考えられないような低コストで案件を実現しているので業界では注目の的となり、会社設立3年目には売上げ20億円を達成した。

最近では問い合わせが殺到し、小口のPR依頼は断らざるをえない状況にあるという。そこで、街の飲食店、個人商店、中小企業、大企業における小口の商品やサービスといった小規模ビジネスの担当者に向け、独自のPR手法を伝授しようと初めてそのノウハウを本書にまとめたのである。

著者は、20歳の時に中古バイクビジネスで起業した。その後、11店舗を経営するなど成功を収めるも、ビジネスの基本を学ぶためにユダヤ系商社に勤務。そこでナンバーワンの成績をあげ、日本法人の実質的なトップとして抜擢された。この時に身に付けたのが、現在の宣伝手法のベースであり、タイトルにもなっている「ユダヤ式」の考え方だという。

全てのものを数値化し、交渉時には相手が求める対価を揃えるのがユダヤ式ビジネスの基本。メディアに関しても同じで、とりあげてくれないのにはそれなりの原因があり、相手が動きたくなるような対価とは何なのかと考えれば、既存の宣伝手法にはない新たな発想が自ずから出てくるはずだという。

そこで大切なのは、一見して無価値なものの中に価値を見出すことだ。飲食店や個人商店には、本人たちが気付いていない商品の良さやストーリーなどがある。今一度、一般の人の目線でネタを掘り起こしてみることが重要なのだ。また、宣伝力が弱いとみなされがちなローカル・メディアや売れないタレントにこそ価値が埋もれているので利用しない手はないという。

 

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