ABCニュースはテレビ局のこだわりを捨てた 踏み込んだYouTube戦略を実行
しかし、若年層の視聴者が好む、新興メディア「Vice」のYouTubeチャンネル登録者数は、630万人以上だ。その規模の差は、いまだ歴然としている。
とはいえ、ABCニュースが注目しているのはYouTubeだけではない。コンテンツの配信先として、自社サイトの「ABCNews.com」、Yahoo!での「Good Morning America」、Hulu、Facebookなども挙げられる。すべての動画プラットフォームを合計すれば、2015年の1月から10月中旬までで12億回以上も視聴された。2014年の同時期と比べると、22%の伸びだ。
成功の秘訣は?
スミス氏によると、成功の秘訣は「すべてのプラットフォームへ同じように対応する」配信戦術を避けたことだと話す。「パブリッシャーにとって、包括的な配信戦術なんていうものはないとわかったことが、われわれの最大の進歩だ」と、彼は言う。「われわれが配信するすべてのコンテンツには、それぞれのプラットフォームに最適な戦術を施す」。
これは、プラットフォームが異なれば、求められるコンテンツも異なるということだ。たとえば、Huluにはテレビ番組のフォーマットが最適であるとわかった。しかし、Facebook、モバイル、テレビアプリなどでは、デジタルスタジオが作成するオリジナルコンテンツの方が求められるという。
ABCニュースはコンテンツが配信される場所の状況に順応することを重視している。たとえ配信先が、YouTubeやFacebookのような第三者サービスであってもだ。「正直に話すと、動画を自社プラットフォームにアップロードする前に、ときどきFacebookにのみアップロードするときもある」と、スミス氏は話した。