【キーマンズ・インタビュー】アステラス製薬のグローバル人材戦略--中島与志明・アステラス製薬執行役員人事部長に聞く

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--現在のグローバル社員数は何名ですか。また報酬制度は世界共通でしょうか?

12年3月現在で約1万6000人だ。うち日本が半分の約8000人、ヨーロッパが約4000人、米州が約2400人、アジアが約1400人だ。

報酬制度は職務グレードというモノサシは共通だが、金額は地域で違っている。報酬の基準は人材調達コストによって変わってくる。世界統一の水準は考えていない。基本となる報酬水準以外では、国によって法律など異なる部分があり、それは必然だと考えている。

たとえば日本では企業年金や退職金という制度があるが、海外では数十年後に支払われる報償制度はない。3年とか5年ごとに報奨金を支払う「ロングターム・インセンティブ」という制度にしている。昇給も、人件費の高騰が続く中国では、年率15%から職種によっては20%もあるが、多くの国ではそこまでは必要ない。

--人材育成はどのように行っていますか?

部門別の専門研修はそれぞれで充実させており、人事が関与することはない。各地域におけるリーダー、マネージャー向けの研修はそれぞれに応じた最適化をしている。グローバル共通なものとしては、部長クラスを対象にした選抜型の研修を行っている。目的はグローバルリーダーの育成と、リーダーネットワーク創りだ。

11年10月にスタートしており、1年間に1週間の研修を3回行う。現在は27人が研修を受けている。参加者はアジア、欧州、米州、日本という地域軸と、研究から営業までの機能軸でバランスをとって決めている。

現在、グローバル規模での連携が恒常的に求められる部長クラスポジションは100強であり、海外と日本の比率はほぼ半々だ。これから毎年20人から25人程度が研修を受けていくことになる。


中島与志明
執行役員人事部長 1978年神戸大学経済学部卒業、藤沢薬品工業入社。1987年営業本部高松支店第一課主任、1990年人事部主任、2001年人事部長、2005年(藤沢薬品工業と山之内製薬が合併)アステラス製薬経営管理本部人事部担当部長、2007年総務部秘書室長、2008年人事部長、2009年より執行役員現職。

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