FRBが12月に利上げをすれば1ドル126円に BBHのマーク・チャンドラー氏に聞く

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イエレンFRB議長は、9月24日のマサチューセッツ大学での講演では、改めて「年内利上げ」を表明していた(写真:ロイター/アフロ)
週明け10月27〜28日にはFOMC(米国連邦公開市場委員会)、30日には日本銀行の「展望レポート」の発表と金融政策決定会合が予定されている。米国の年内利上げはあるのか?日銀の追加緩和は?ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジー部門のグローバル・ヘッドであるマーク・チャンドラー氏に話を聞いた。

3人のキーメンバーが年内利上げを模索

――FRB(米国連邦準備制度理事会)は年内に利上げできると思いますか。

FRBは慎重になりすぎている。中国経済減速の影響は、周辺諸国に広がり、米国の輸出先にも影響を与えた。しかし、米国経済は堅調だ。米国の雇用は失業率5.1%と2004年に利上げを始めた水準まで低下した。ほぼ完全雇用の状態だ。ただ、インフレ率は低いままであるため、FOMC(米国公開市場委員会)メンバーの意見が割れている。

年内の利上げはもうないと言っている市場関係者もいるが、私は、まだ利上げのチャンスはあると思っている。

理由のひとつは、12月のFOMC(15~16日)までに、まだ雇用統計の発表が2回あることだ。10月、11月の非農業部門雇用者数の増加がいずれも17万人程度を下回って15万人程度にとどまるなら、利上げは見送られるだろう。逆に、20万人増程度が続けば、利上げは開始されるとみている。8月、9月の雇用統計はよくなかったが、一時的な統計のブレであった可能性がある。新規失業保険申請件数など雇用関連の指標は強く、22.5万件でこれは7月にも記録しているが、前回は10年前ぐらいまで溯る。

もう一つの理由はFOMCの意見が割れているとはいっても、キーパーソンはイエレンFRB議長、フィッシャー副議長、ニューヨーク連邦準備銀行のダドリー総裁であり、彼らは依然として、年内の利上げを模索していることだ。

3つ目の理由は市場のボラティリティ(変動性)が低下してきたことだ。9月の利上げ見送りの理由はについて、FOMC声明文は「金融と国際情勢」(financial and international developments)という表現をしたが、つまり中国ショックによる国際的な市場の動揺だった。ただ、足元では、市場は落ち着いてきている。

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