成長を加速させるために
楽天が選んだ“動く”デスクとは?
岡村製作所
「+Standing」という働き方が
個人も組織も活性化させる
岡村製作所の「スイフト」は、立ち仕事を推奨するものではない。同じ姿勢をずっと保っていると疲労が蓄積し、集中力も衰えていく。つまり自分のタイミング、自分の好みで自由に姿勢を変えられることが大事なのだ。そこで同社は「+(プラス)スタンディング」という考え方を提唱している。
「座りすぎが健康リスクを招く要因になることは、いまや世界の常識です。実際、北欧では大部分の企業が、米西海岸のIT企業の多くも、昇降式のデスクを使っています。ワークスタイルは、それぞれの人に合ったものでいいんです」(岡村製作所ソリューション戦略部・部長・大野嘉人氏)。
実際、これまで行ってきた実験や調査で、立ち仕事を取り入れると社員の健康度がアップするなどの効果が得られている。自由な姿勢で仕事をすると生産性が上がることはほぼ間違いない。生産性が上がれば仕事を終える時間も早くなり、それだけ自由に過ごせる時間も増える。フィジカルだけでなくメンタルでも、「+スタンディング」のワークスタイルは良さそうだ。
もちろん、企業の組織文化はさまざま。楽天の例がそうであるように、それぞれの組織文化に合ったワークスタイルにすることが、社員個人をエンパワーし、組織を活性化する。したがって企業は、まず自社の組織文化を知ることが大事になる。そこで注目したいのが岡村製作所の「組織文化診断」だ。オフィス研究所の山田雄介氏がこう解説する。「われわれは組織文化を家族文化、マーケット文化、階層分化、イノベーション文化の四つに分類し、現状の組織文化と目指したい組織文化について調査しました。目指したいもので最も多いのは家族文化、伸び率が高かったのはイノベーション文化でした。目指したい文化がわかれば、それに適した行動をしやすいオフィスを考え、その方向に進むようにする。楽天様のように組織文化を体感できるオフィスにすることで社員の行動を変えていくことができるのです」。
「スイフト」も、そうした組織文化を考えたうえで導入することを同社は勧めている。
「PC操作や資料を読み込むなど、それぞれの作業における適切な高さは人によって違ってきます。その時の体調や気分、時間帯によっても違ってくるでしょう。今、自分がもっとも働きやすい高さを実現できるのが、スイフトの良さではないでしょうか」と話すソリューション戦略部販促企画室長の武田浩二氏は、「スイフト」を導入した企業、あるいは導入を検討している企業に使い方の助言や提案をするコンシェルジュの役も担っている。
「個人も組織も適したワークスタイルはさまざま、お客様と一緒になってそれぞれの企業に最適なワークスタイルを作り上げていくことが私たちの目指すところです」(大野氏)。
オフィスを見渡すと、立って仕事をしている人もいれば、座って仕事をしている人もいる。そういう風景が当たり前になっていけば、もっと日本の企業も元気になれるかもしれない。