「TPP大筋合意」で買われた株ランキング 関税撤廃の恩恵を受ける会社が軒並み上昇

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7位の明治ホールディングスは、表向きは輸入チーズの関税撤廃が材料視されたが、バイオ医薬品の開発でも買いを誘った。バイオ医薬品の保護期間は「実質8年」と明確なルールが策定され、開発が加速する可能性が高い。12位の協和発酵キリンや22位の味の素のほかにも、医薬品メーカーが物色されそうだ。

TPP関連銘柄でも自動車メーカーの株価は、反応が鈍かった。米国向けの乗用車の関税は現行で2.5%とすでに低く、完全に撤廃されるのも発効から25年目と遠い先のこと。むしろ為替の変動のほうが業績に与える影響が大きく、材料としてはニュートラルといえよう。

遅れて注目される銘柄も

TPPは原則、秘密交渉であるため、これまで情報が乏しく、株式市場はその影響を判断しにくい面があった。5日の合意直後は、関税撤廃などわかりやすい分野で関連銘柄が反応したが、今後、詳細な中身が報道されるに従い、遅れて注目される銘柄も出てくるだろう。

たとえば、加盟国の中で今後も経済成長が期待できるベトナムやマレーシアは、これまで外資系の小売企業の出店に規制をかけてきたが、今後は緩和措置を取ることで合意した。日本の有力スーパーやコンビニエンスストアなどはより出店しやすくなり、国内市場の縮小をカバーできるようになるかもしれない。

(週刊東洋経済2015年10月17日号「投資の視点」から転載)

古庄 英一 東洋経済 記者

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ふるしょう えいいち / Eiichi Furusho

2000年以降、株式マーケット関連の雑誌編集に携わり、『会社四季報』の英語版『JAPAN COMPANY HANDBOOK』、『株式ウイークリー』の各編集長などを歴任。

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