【産業天気図・半導体】NANDフラッシュは底堅いが、DRAM、LSI中心に悪天候続く

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12年4月~12年9月 12年10月~13年3月


 2012年度前半の半導体業界は「雨」が続きそうだ。パソコンなどに使われる記憶用半導体のDRAMは市況急落や歴史的円高が重しとなり、日本唯一のメーカーで世界3位のエルピーダメモリが経営破綻した。焦点は再建を支援するスポンサー企業が決まるかどうかだが、DRAMは世界シェア45%を握る圧倒的王者、韓国サムスン電子だけしか黒字を出せない状況。エルピーダの支援先が現れるかどうかは極めて不透明だ。

スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器向けに需要が拡大しているNAND型フラッシュメモリーは比較的底堅い業況が続いるが、足元やや軟調。同分野で世界2位の東芝は11年度増益を見込んでいたものの、NANDの利益見通しが計画割れ。ディスクリートと呼ばれる単機能半導体も大苦戦しており、11年度の全社業績は減益となる。ディスクリートの国内3工場は閉鎖する予定で、NAND以外の半導体事業はリストラ途上だ。

システムLSIも、テレビなど国内電機メーカーの最終製品が国際競争力を失っていることなどから長らく構造不況状態に。パナソニックはテレビ事業のリストラと並んで半導体の止血が緊急課題になっている。ルネサスエレクトロニクス、富士通、パナソニックなどには経済産業省を巻き込んだ大掛かりな再編シナリオも浮上しており、事業撤退、売却はじめ関連企業を巻き込んだ大掛かりなリストラが進行する可能性が高まっている。

半導体メーカーの投資規模は米インテル、サムスン、台湾TSMC(世界最大の受託製造企業)のトップ3と、それ以下で一段と2極化が進行。装置メーカーは先端投資に積極的なトップ企業に対する売り上げシェアが高い企業のみ増益トレンドで、それ以外については弱含みの様相だ。

半導体メーカー、装置企業ともに業界全体の空模様は、改善するとしても12年度後半以降。改善したとしても、ところどころで悪天候が残り、「曇り」となりそうだ。

(長谷川 高宏=東洋経済オンライン)

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