米国では部下を褒めずに叱れば管理職失格 あなたは異文化を理解していますか

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 まずは下の写真を見て欲しい。これは「人物を撮る」ように言われた2人の被験者が撮影した写真だ。撮影した2人のうち、ひとりはアメリカ人、もうひとりは日本人である。どちらの写真がどちらによって撮られたものか、おわかりだろうか。

左右、どちらの写真の撮影者がアメリカ人で日本人か、おわかりだろうか?※画像提供:英治出版

多くの人が正解を予想できたのではないかと思うが、左がアメリカ人、右が日本人によって撮影された写真である。複数の被験者に対して行われたこの実験において、アメリカ人はほとんどの場合、人物の顔がはっきりわかるようにクローズアップ写真を撮った一方で、日本人は背景まで写るように撮影し、人物が非常に小さくなる傾向にあることがわかった。

西洋の実験参加者「だけど人物の写真を撮れと言われたんだから、左のこそが人物写真だよ。右の写真は部屋の写真だ。どうして日本人は人物の写真を撮れと言われて部屋の写真を撮るんだ?」


アジアの実験参加者「左の写真は人物写真とは言えない。顔のクローズアップ写真だ。これを見てその人物の何がわかるっていうんだ? 右の写真には人物が、彼女の全身が、背景と一緒にわかっているから彼女の人となりを推し量ることができる。どうしてアメリカ人は大事な細部を省いて、顔のクローズアップ写真を撮るんだ?」

生まれ育った文化に規定されている、思考と行動

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もしビジネスの場において、違う文化をもつ国出身の人と仕事をともにした経験を豊富にもつ人であれば、このような考え方の違いを目にしたことは一度や二度ではないだろう。

私たちの思考様式や行動パターンは、私たちが想像する以上に、生まれ育った文化によって規定されている。違う文化的背景を持っている人と接するときに、そういった文化的背景がもたらす思考や行動の差異に対して敏感でなければ、相手の意図を読み違え、ひいては思わぬ対立に巻き込まれてしまう。それは単に休暇中の旅行先でのマナーなどに留まらず、ビジネスの場においても多大なる誤解と非効率を生み続けているのだ。

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