期間限定・週4日勤務でも専門スキルは生きる ワークスタイル変革が始まっている!<2>

✎ 1〜 ✎ 79 ✎ 80 ✎ 81 ✎ 最新
拡大
縮小

「人事制度の企画・運営スキルや人事情報システムの保守・運営スキルは、専門性の強い領域ですし、正社員で探してもなかなか経験者が見つかりにくい分野です。派遣会社の登録者の中に適切な人材がいなかったのは当然なのかもしれません。そんなときに、ハイスキルな女性と企業のマッチングを行う会社から人材の紹介を受け、産育休期間の”助っ人”として、休職した人材と同じような経験を持つ女性に期間を区切って契約社員として業務を依頼することにしました」(盛山氏)。

採用されたMさんは、3人の子どもを持つワーキングマザーで、日本企業でC&B領域の業務経験がある。そして、「朝、子どもの保育園の送りは夫がするが、迎えは自分が担当するので、17時には退社したい。自分でやりたいこともあり、週1日はそれに充てるため、週4日勤務にしたい」という希望を持っていた。ABBジャパンが求めるスキルとMさんが求める働き方の条件は最終的に折り合って採用に至り、Mさんは月曜から木曜までの週4日、9時から17時まで勤務している。

子育て真っ最中で、金曜日は自らのライフワークであるNPO活動に時間を充てているMさん。現時点では、中長期的にやりたいことがある中でのフルタイム勤務は難しいため、こうした働き方を選んでいるのだという。

ハイスキル人材を期間限定で採用できた

女性の新しい"はたらきかた"についての詳細は、週刊東洋経済臨時増刊「ワークアゲイン」(好評発売中)をご覧下さい

高いスキルを必要とするポジションに期間限定の社員を募集しても人材は集まりにくく、一般事務をメインとした派遣社員ではスキルや経験がなく、採用できない。そんな中で、Mさんのような、「子育て中で働き方に制限はあるけれども、高いスキルや能力がある」という人材は、まさに同社のニーズにぴったりだったという。

「個人が持っているスキルが大事なのはもちろんですが、Mさんはコミュニケーション能力も高く、非常に戦力になっています。産休・育休を取得した正社員が戻ってきた後も、人員構成的に許されるのなら、そのままいていただきたいくらいの人材です」(盛山さん)。

ABBジャパンでは以前、産休の代替の場合は派遣会社で人材を探していた。社内の業務は、一般事務系とハイスキル系に大別できるが、ハイスキル系は、社員にウエイトをシフトさせて内部で仕事のやりくりをしてカバーするというやり方が一般的だった。しかし、今回は、スキルのある人材を期間限定で採用でき、周囲の社員の仕事量を増やすことなく業務を継続することができ、非常にメリットがあったという。

同社の場合、経理や情報システムなどのバックオフィス部門は人数が少なく、戦力になっている社員が産休・育休を取得することになると、影響が大きい。今後もバックオフィス部門については、今回のMさんのように、「期間限定で採用できる高いスキルを持った人材」を活用したいと考えているという。この考え方は、産休・育休時の代替人員の確保の仕方として多くの企業にとっても参考になりそうだ。

原 ユキミ Waris

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はら ゆきみ / Yukimi Hara

豊富な知識や経験を持つハイスキルな女性人材(=ハイスキルマザー)に、時間や場所にとらわれにくい仕事を紹介する人材紹介会社。紹介する仕事の職種は、企画・営業・マーケティング・PR・人事・経理など。「週3稼働」や「残業なし」「打ち合わせベースで出社」などフレキシブルなワークスタイルが特徴。この記事はWarisの登録スタッフが執筆しています。Warisのホームページはこちら(http://waris.co.jp

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT