実は、今から約35年前(1980年ごろ)にも、今とは反対のケースではあるものの、似ている話があった。日中平和友好条約が締結されたのは1978年だが、その後の数年間は、日中ともに8割以上の国民が、ある意味で日中関係について「友好的イメージを持っている」とマスコミが報じていたのである。
私はちょうどこのころから中国ビジネスに携わってきたが、当時は「第2次世界大戦後初めて日中両国が歩み寄った『世紀の出来事』だから、両国がともに浮かれるのは理解できる。だが、8割以上の国民が同じ方向に流れてしまうのは、一種の全体主義的な傾向ではないか」と感じたものだ。
「反日」というよりは日本を知らないだけ?
時代の流れで好き嫌いが変化するのは普通のことであり、不思議ではない。ただしその内容を検証してみると、かなり「寒い」といわざるをえない。つまり、どんな民間の調査機関が行っているのかは別にして、それぞれの時代のあやふやな雰囲気を「好きか嫌いか?」で答えさせ、無理やりねつ造した「人気投票」と同じようなものなのである。いわば芸能人に対しての印象を聞く「好きなタレント、嫌いなタレント投票」と違わないレベルだと考えるから、私はあまり感心しない。
確かに農村部などの中国人にとっては、日本人の印象は良くないのかも知れない。だがそれは反日というより、私に言わせれば「日本のことをよく知らない」というのが実態である。手を変え、品を変えて洗脳教育を受けているのだからそうなるのだろうが、一回でも日本人と付き合ってみるか、日本観光ツアーにでも参加すれば、すぐに考えは変わるはずだ。
そもそも、もっと単純に考えてみると、本当に日本が嫌いな人が圧倒的多数なら、なぜこれほどまでに多くの中国人観光客が「爆買いツアー」に来るのか。それだけ考えれば、簡単に答えは出るというものだ。
先日たまたま、所用があって京都に出張に行ってきたが、祇園界隈は中国人ツアーの団体で歩けないほどの人混みだった。おまけに中国の観光客はもう10月になるというのに、古着屋で借りてきた季節外れの「ゆかた姿」で京都を楽しんでいた。本当に反日感情が強ければ、誰が好き好んで「敵国」の着物を着なければならないのか?
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