サイバークライム ジョセフ・メン著/浅川佳秀訳

サイバークライム ジョセフ・メン著/浅川佳秀訳

無数のパソコンを支配下に収め(ボットPC)、特定の企業や機関に膨大なアクセス(スパムメール)を実行させることで、システムを崩壊させる。それが嫌なら法外なカネを出せと脅す。あるいは個人情報を盗み出して(米国の決済会社は1億3000万件も抜き出された)商売する。ほかにもさまざまなサイバー犯罪が展開されているが、取り締まる側の体制は貧弱極まりなく、後手に回っている。そうした中、ネットセキュリティのプロとイギリスのハイテク捜査官がハッカーたちを時に取り逃がし時に追い詰めるさまを鮮やかに描いたノンフィクション。

ハッカーは並外れた技術力を駆使して巨利を得、正体を容易に明かさない。大物の多くはロシア周辺に住み体制側と癒着して利益を分け合っている。もう一つのサイバー犯罪大国・中国では体制維持と対外戦略の手段として蜜月関係が存在する。米英ロ中それぞれの事情を紹介しつつ深い闇を描いて秀逸である。(純)

講談社 2415円

  

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