いま日本に「スマホで授業」が絶対必要なワケ 「ミスターリクルート」が狙う学校教育改革

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藤原和博氏はなぜ「スマホで教育」を推すのか?
教育改革実践家、藤原和博氏。「ミスターリクルート」と言われ、民間人では初めて公立中学校である東京都杉並区立和田中学校の校長になった人、という説明がわかりやすいだろうか。
5年間校長を務める中で斬新な手法を取り入れてきた藤原さん。その中でも、一筋縄では解決しないような社会的課題を議論する「よのなか科」の開講は、多くの人の注目を集めた。今、その「よのなか科」は現役高校生の2人に1人が利用する「受験サプリ」(リクルート)内で、「未来の教育講座」のひとつとして誰でも視聴することができる。2020年には大学入試改革も控えている教育の世界を、どのように変えていきたいのか。藤原さんに話を聞いた。
※前回記事:受験勉強が激変?「受験サプリ」の破壊力

アクティブラーニングの時間を充実させることが目的

――8月31日の記者会見で発表された、奈良市立一条高校×リクルート×奈良教育大の挑戦について、その狙いを教えてください。

やろうとしているのは、最先端のチャレンジです。世界初の「スーパー・スマート・スクール(SSS)」を一条高校で実施します。生徒個人のスマホを授業に持ち込ませて、徹底的に利用します。知識詰め込み型の教科の復習はできるだけ受験サプリの動画を使って効率的に行い、その知識を使って社会的な課題について議論していくアクティブラーニングの時間を充実させようと思っています。

――藤原さんが考えるアクティブラーニングとは何ですか? 海外ではあまり聞かない言葉です。

「児童や生徒が寝ない授業」と私は説明しています。つまり、生徒が主体的に学ぶ授業です。主体的だと、自分のこととして学ぶので眠くならないんです。

たとえば、「貨幣とは何でしょうか?」という説明を、眠くなるような先生の授業で1時間聞くよりも、地図を示されてハンバーガー店をどこに出店すれば儲かるかをあれこれ推理させる方がよっぽど理解が進みます。推理していく過程では、社会科だけではなく数学や理科も必要になるかもしれません。つまり、複数の教科を合わせた「合科」(ごうか)で考えないと予想できないんです。

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