「日用雑貨品卸」、全国で再編が相次ぐワケ

大手2社以外は四苦八苦

PALTACが今年8月に新稼働させた物流センター「RDC関東」

JR東北本線の新白岡駅から、バスで約15分。埼玉県東部にある白岡市荒井新田で8月19日、日用雑貨品卸の国内最大手であるPALTAC(パルタック)が最新鋭の大型物流センター「RDC関東」を稼働させた。同エリアは東北自動車道と首都圏中央連絡自動車道(圏央道)が交差しており、東京都心や首都圏全域へのアクセスに大変優れていると言われる。

敷地面積2.7万平方メートル(建坪は1.4万平方メートル)、年間出荷能力800億円、総投資額115億円。同社にとって16カ所目の物流センターとなるRDC関東は、過去最大級の物流センターだ。それだけに今回の物流センター稼働は、日雑卸業界全体にとっても大きな意味を持っている。

PALTACの調べによると、化粧品・日用品・一般用医薬品などを合わせた日用雑貨卸の市場規模は3.2兆円に及ぶ。このうち自社のシェアは26%を占めるが、大阪が本拠地のため、関東のシェアはこれよりも低い。今回、RDC関東を稼働させれば、1.1兆円の市場があると見込まれる関東圏もカバーできる。2番手のあらたを引き離し、国内最大手の座をさらに磐石にできるというわけだ。

国内最大手の積極策は、危機感の表れでもある。PALTACは物流拠点の稼働にとどまらず、10月1日にマツモトキヨシホールディングス傘下の卸会社で、関東を基盤とする伊藤秀商事を合併する。関東を拠点とするある中堅卸幹部は「パルタックさんはついに仕事を奪いに来た」と警戒感を示す。なぜ最大手が焦りを感じているのか。そのためには、「日用雑貨卸」とはそもそもどんな存在なのかを知る必要がある。

業界社数は2000社から500社まで激減

シャンプーや歯磨き粉、洗剤などをメーカーから仕入れ、ドラッグストアをはじめとした小売りに卸す。日用雑貨卸は、いわゆる「製・配・販」の中間に位置する存在だ。ふだん消費者の目に触れることはあまりないが、取り扱っている量は侮れない。PALTACの場合、年間の販売個数は25億個に及び、国民1人当たり20個の日雑用品を購入している計算となる。身の回りの日雑用品は、こうした卸を通じて届けられているのだ。

「RDC関東」の竣工式で談笑するエステーの鈴木喬会長(右)とPALTACの三木田國夫会長(左)。メーカーと卸の蜜月ぶりを示す場面だ

卸が日本独自と言われるゆえんは、市場構造の独自性に基づいている。米国はメーカーがP&G、小売りがウォルマートというように寡占化されている一方、日本は消費財メーカーが10万社、小売店が100万店あると言われる。その都度メーカーと小売りが直接取引をしていては互いに効率が悪いため、日本は卸という存在が重要視されてきた。ある日用品メーカーの幹部は「日本の卸は我々に情報をもたらし、商品の受発注から物流、代金回収までしてくれる。そのおかげで我々は開発に専念できる。世界で類を見ない日本独自の素晴らしいモデルだ」と賞賛する。

とはいえ、人口減などに伴い、日雑卸業界の会社数は激減している。業界内ではこの30年間で2000社以上あったものが、500社程度になったとされる。多くは地方密着型の卸であり、全国で展開するのがPALTACやあらたなど。そのPALTACやあらたも100以上の各社事業が統合してできた歴史がある。特に2002年4月、北海道のダイカ、愛知県の伊藤伊、福岡県のサンビックが統合してあらたが誕生した時は、業界に激震が走った。

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