「窓」の思想史 浜本隆志著

「窓」の思想史 浜本隆志著

窓にとどまらぬ建築文化史という広がりの中で、日本と欧米の比較文化が論じられる。水平と垂直が全編のキーワードとなり、押す文化としての開き戸の欧米と、引く文化としての引き戸の日本という決定的な違いが発信型と受信型の文化の差につながっている。

垂直方向へ延びる欧米の建物は権威とヒエラルキーの所産であり、低層で水平に延びる日本の古い建物とは好対照を成す。西欧の窓はガラスの進歩で役割を大きく変え、日本では障子を閉じれば半透明、開ければ開放感あふれる独特の世界を生んだ。西欧の窓における光は明と暗、二項対立であるのに対し、日本ではグラデーションとなって国民性を規定しているという。

「窓辺の風景」「窓の風俗史」「窓と欲望の資本主義」など興味深い章が続くが、窓のみならず建築と政治、建築と思想のかかわりが展開されて大いに楽しめる。建物を見る目に加えて文明の行方を考えるよい手掛かりが得られるだろう。(純)

筑摩選書 1680円

  

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
行き詰まる東電支援<br>原発最後の選択

賠償費用も廃炉費用も想定から大きく上振れし、東電支援スキームは破綻の瀬戸際。東電の発電所を売却し、その代金を賠償や廃炉費用に充て、東電を送配電会社に再編する構想が浮上。