ユーロ圏ソブリン危機の深刻化がEU加盟国の格付けを圧迫《ムーディーズの業界分析》


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ソブリン・リスク・グループ

2011年11月28日、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ユーロ圏の政府および銀行の信用危機の急速な悪化の継続により、すべての欧州諸国の格付け水準が下方圧力を受けている、と警告する新しいスペシャル・コメントを発表した。近い将来、信用市場を短期的に安定化させる政策措置が採られず、また他の何らかの形でも市場環境が安定化しなければ、信用リスクは今後も上昇するとみられる。

また、ムーディーズは、信用市場の信認を早急に回復するような措置がユーロ圏当局に求められる一方で、当局が直面する制約も増大しつつある、と指摘している。ユーロ圏全体には大きな経済力と財政力があるものの、その制度的な弱点が危機の解決を遅らせ、格付けに悪影響を及ぼしている。ユーロ圏の政策的な枠組みは現在、さらなる統合か、さらなる分裂か、という分岐点に向かいつつある。

ムーディーズでは、デフォルトはこれ以上拡大することなくユーロ圏は存続する、という中心シナリオを描いているが、このような「ポジティブ」なシナリオにおいても、格付けには当面は大きなマイナスの影響が及ぶと見ている。

ムーディーズは、何らかの決定的な事象を経て初めて、効果的な解決に向けた政治的な動きが出てくる可能性があると考えているが、そのような事象は同時に、中長期的な市場調達を困難にし、支援策を必要とする国を増やす可能性がある。その場合、実施が必要になるとみられるソルベンシー・テスト(債務返済能力を測るテスト)と、中長期的な支援が必要とされる場合の強制的な責任分担の可能性(その可能性は高いとみられる)を考慮すると、そのような国の格付けが投機的等級に引き下げられる可能性は高い。

ただし、ここ数週間でよりネガティブなシナリオが実現する可能性が高まってきた。ギリシャとイタリアの政治の不安定性、ギリシャ債務保有者に対する最終的な「ヘアカット(元本減免)」率をめぐる不透明性、現行の支援プログラムの実施が条件付きであることが最近のEU首脳会議の声明において強調されたこと、ユーロ圏の景気見通しのいっそうの悪化などがその主な背景である。

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